高校時代、塚野とはあまり親しくなかった。
思い出すのは、北海道でコンサドーレ札幌vsヴィッセル神戸の試合を見に行ったときのことだ。僕はまだ大学生活を満喫していて、塚野はホンダからヴィッセルに移籍して、当時のJFL(今のJ2)で戦っていた。後半の30分くらいだったろうか。塚野が途中出場した。僕はゴール裏でコンサドーレを応援していたが、遠くで豆粒ほどにしか見えない塚野に興奮した。この年、ヴィッセル神戸はJリーグへの昇格を決め、塚野はJリーガーになった。
それから早何年、SC鳥取がJFLに昇格し、ホームである米子での開幕戦を迎えた。
二千人を超える観衆、ワールドカップフランス大会のテーマソングが流れ、フェアプレイの黄色いフラッグを掲げた少年たちに続いて、SC鳥取の選手たちが入場し、その中に10番をつけた塚野の姿があった。
塚野が米子に帰ってきて、僕たち同級生が集まって酒を飲む機会が増えた。その度、彼が繰り返し語ってきた夢がある。
「Jリーガーでも引退したらサッカーをする場所がない。したい奴はいっぱいおる。田舎に帰ってもサッカーを本気でやりたい奴がサッカーをやれる環境がないといけん。」
それが叶った瞬間だと思った。僕はまた興奮した。涙が出そうになった。 でも、今はまだ夢の途中だと思う。今年、塚野の率いるSC鳥取ガイナーレがホームゲームに二千人を超える観衆を呼び、また僕を興奮させてくれるに違いない。この興奮がずっと続いていくことを切に願う。
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