岡空小児科医院
おしらせ 感染症情報 先生あのね 院長の部屋 医院案内 診察案内 院長挨拶 交通 お問合せ さくいん
▲院長の部屋
院長の部屋 院長の部屋
院長先生のコーナーです

芋太随筆集
 芋太院長の随筆集です。 知ってる人は知っている、知らない人は覗いてね!


写真第25回 山陰感染症懇話会 鳥取県例会
期 日 : 2006年12月10日(日)13時〜16時30分
会 場 : 鳥取県健康会館(鳥取県医師会館) 4階会議室

「診療所で臨床を担当する立場から現状における感染症懇話会の問題・課題」 
境港市、岡空小児科医院、岡空輝夫

 小児科医になって早いもので、28年目になりました。 大学病院10年+勤務医6年半+研究1年+開業医10年です。 小児科診療所での感染症を診療する手順は病歴(インタビュー)、家族の感染状況、臨床所見、迅速検査、周囲の感染症情報、県や国の感染症情報、血液検査、細菌培養検査、ウイルス同定などを駆使しつつとなりますが、必要最小限の検査・処置・治療がベストだろうと思います。 ただ、診療所では軽症例がほとんどであり、過剰医療の弊害は大きく、注意が必要です。
 実際に感染症を診療するに際して、最重要項目は何と言っても病歴(インタビュー)と臨床所見です。 次いで家族の感染状況、周囲の感染症情報、県や国の感染症情報、個人的IN(インターネット)での情報などが参考項目となります。 最後に特殊項目として、最近普及してきた迅速検査(溶連菌、インフルエンザ、ロタ、アデノ、RS・・・)や細菌培養(咽頭、髄液、便・・・)そしてウイルス分離・同定(咽頭、髄液、便・・・)などがあります。 なお、当院独自の感染症ノートを作成して、手足口病、風疹、おたふくかぜ、溶連菌感染症、麻疹、水痘などの感染症患者さんは氏名、年齢、性別、集団生活、家族などの情報を記載し、有力な参考項目として活用しています。
 迅速検査の普及は外来診療の質を変えたのは事実ではありますが、問題点もあります。 感度・特異度を十分に熟知しないと、本質を忘れて検査に振り回されることになりかねません。 やはり感染症診断の基本は病歴(インタビュー)と臨床所見です。 迅速診断はあくまでも補助診断的位置づけだと思います。
 診療所で臨床を担当する立場から提案です。 感染症情報についてIN利用のリアルタイム感染症情報と麻疹・風疹の全数把握をぜひとも実現していただきたいと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「えっぐクラブ」  小児科医の立場から、子どもの発達段階に応じた関わり方
 境港市、岡空小児科医院 岡空輝夫 2006年8月26日

1.はじめまして
 4人の子ども(大3、大1、中2、小6)、妻1人とともに暮らしています。 一般論ではありますが、小児科医の子どもが心身共に順調に育っていくわけでは決してありません。 問題噴出です。 でも、多くの方のおかげで何とか壁を超えながら、日々勉学しているようです。 特に妻は苦労しながら、毎日を楽/苦しんでいる?

2.病気
 昔と違い、病気で死亡する子どもはほとんどいません。 予防接種を忘れないで受けましょう。 また、子どもの病気のほとんどは自然治癒します。 薬なんてたいてい気休めです。 本当ですよ! 薬をたくさん出す医者より、自然治癒を手助けする処方箋を出してくれるお医者さんを受診しましょう(笑い!)。

3.事故
 子どもの死因の第1位は事故です。 交通事故(チャイルドシートしていますか? シートベルト着けましたか?)、水の事故(お風呂の残り湯は捨てましたか? ふろ場の鍵はかけましたか?)に注意しましょう。 大切なのは事故予防! 学習(教育)と環境整備が大切です。

4.○×クイズに挑戦!
1)亭主元気で留守がいい! 育児は母親に任せ、父親は働く姿を子どもに見せるだけで、子どもたちはすくすく育つ。
2)母性とは「無条件ですべてを包み込む無常の優しさ」を言い、男性にはない感情である。
3)父性とは「良いものは良い、悪いものは悪いと、悪いものはばっさりと切り捨てる厳しさ」をさし、女性も有している感情である。
4)赤ちゃんに抱きグセがつくといけないので、1歳まではしょっちゅう抱いてはいけない。
5)ラジオやテレビから流れるクラシック音楽は赤ちゃんにとって、とても心地よいものであり、ラジオやテレビをつけながら育児をすると良い。
6)コンピューターゲームは、大脳の発達を促し、賢い子どもを育てる。
7)有名な六田式などの早期教育は大脳の発達を刺激して、天才児を育てる。
8)子どもを叱る時には、両親の態度が違うと子どもは戸惑うので、同じような態度が良い。
9)乳児用のイオン飲料は脱水症を予防するので、普段から飲ませても良い。
10)1歳を過ぎてからも母乳を飲ませていると赤ちゃんは自立できない。 1歳過ぎたら断乳すべきだ。

5.子どもの心理学
1)乳児期(〜1歳)
 生まれたばかりの赤ちゃんは目の前のほんの数10cmしか見えない。 抱っこしたお母さんの顔が一番良く見える。 お腹が空いて泣くと、抱き上げられ、目の前に母親のオッパイが見えてきて、それに吸い付くことでお腹が満たされる。 その時に無言じゃなく、「○○ちゃん! お腹すいたね! おっぱいあげるね〜」と言いながらすると満点。 泣く:(母親の語りかけと微笑み):おっぱい:満足という繰り返し、この方程式を「万能感体験」という。 乳児の万能感体験を高める育児が望まれる。 ほどのよい母親と、ほどの悪い母親。
 生後6か月以降は寝返り、はいはい、立位などが可能となる。 移動:母親から離れる:不安。 不安になった乳児は泣いて母親を探すか、母親のところに戻り母親と接触(スキンシップ)して不安は解消され(情緒的エネルギー補充現象)、また探索行動に出る(ウルトラマンのカラータイマー)。 この探索行動を一方的に制止したり、まったくの放置はいけない。 じっと見守ってあげることが大切。
2)乳児期前半(1〜3歳)
 歩けるようになり、母親からさらに離れることができるようになる。 母親と自分が別な存在であることに気づき、ますます不安になる。 その時、自分の不安を取り除いてくれるもの:ぬいぐるみ、タオルなど(移行対象)を手放せなくなる。 この移行対象は子どもにとって必要なもの。 大人の感覚で判断して、禁止したり捨てたりしてはいけない。
 一方では、この年代は生活習慣行動の「しつけ」が始まる年代である。 この時に大切なのは、「しつけ」が叱責や威圧によるものではなく、自分でやれるようになるための手助けをしてあげること。 励ましや賞賛による「しつけ」。 そうすることによって、子どもは達成できた喜び(達成感)と自分を制御する力(自律感)を身に付ける。 また、これらの「しつけ」が可能となる時期も子どもによって違う(個人差がある)ことをしっかりと認識すること!
3)乳児期後半(4〜6歳)
 生活習慣行動の自立(排便や排尿も含めて)が可能となり、自律感が充足され、何でも一人でやりたがるようになる。 周囲への好奇心も高まり、「いたずら」と呼ばれる自発的かつ積極的な探索行動もそれまで以上に盛んになる。 しばしば周囲とぶつかり、喧嘩になったりするが、自他に大きな危害が及ぼすような行動でない限り、仲裁しない! 少なくとも、親の都合で子どもの行動を一方的に制圧しない。 また探索行動の程度や生活習慣行動の自立が可能となる時期も子どもによって違う(個人差がある)ことをしっかりと認識すること!
4)学童期(7歳〜12歳)
 思考の中心性(自己中心主義)が薄れ、客観的な思考が成長とともにできるようになってくる。 小学校入学直後の1年生はどの子もはち切れんばかりの「勉強したい意欲」で学校へ向かう。 ここで大切なことは、子どものレベルにあった適切な課題と刺激を与えられることで、達成感が得られ、知識欲、学習意欲が高まっていく。 叱るより誉める。 物を与えるだけじゃなく、お手伝いという課題を与える。 そうすることによって、知識欲、学習意欲、課題をこなせたという達成感は、家人や他者から評価されることによってますます評価される(犬もおだてられると気に登る)。 他人と比べて劣っていることを指摘するより、子どもが少しでも進歩したなら、誉めること!(子育ては子どもの良いところの宝探し!)
5)思春期・青年期(13歳〜22歳)
 抽象的な論理的思考ができるようになり、自分という概念を考えることができるようになる。 しばしば、親にも批判的な意見を言うようになる。 大抵の場合は正論であり、親も真摯な態度で対応する必要がある! 「自分は何であるのか? どんな一生を送るのか?」という命題は、将来の職業や生き方を現実的に考えなければいけない時期とも重なり、切実な問題となる。 将来の選択肢(職業や生き方)には優劣はなく、非行や逃避などの問題行動や自己否定的な方向でない限り、どの方向でも承認されることを伝え、基本的にはあまり干渉せずに見守っていく態度が望まれる。

6.生活様式が変わった!
 昔は大家族制(祖父母や居候などの存在)で、みんなの協力もあり、親は見よう見まねで子育てができた。 特に父親はただ威張っていれば良かった。 今や会社でも家庭でも威張らせてくれない。 現代は核家族化と子ども部屋(個室)の時代。 もちろん、良いこともあれば、悪いこともある。
 昔は暖炉/いろり/こたつに家族が自然に集まっていた(車座)。 テレビの出現で、みんなの視線はテレビに(T字)、でもテレビは1家に1台しかなかったので、チャンネル争いなどで自然にコミュニケーションがとれていた。 今や各部屋にテレビが1台の時代。 テレビをこれ以上買ってはいけない! 家の2階で子どもたちが何をしているのか分からない???
 核家族化+個室化における工夫
居間が大切。 家族は特別な用事がない限り、今に居るという家族憲法を制定する。
基本的にテレビを見ない・つけないという習慣。 メデイアリテラシー!
子ども部屋のドアは閉めないという習慣。 ましてや、鍵は論外!

7.まとめ
 一人の赤ちゃんが立派な成人に育つこと/育てること=育児は大事業である。 みんなが初心者であり、多少の練習が必要であり、勉強したり工夫したり苦労したりが必要。 方法はひとそれぞれで異なるが、親が逃げないで真正面から取り組めば、子どもに気持ちが通じ、きっと成功する。 とても楽しいものである!
乳児期:抱く、語りかける、母乳、添い寝、親子体操・・・
幼児期:読み聞かせ、真剣な親の態度、早期教育は有害、テレビもつけない、子どもの話を聴く、外で遊ぶ・・・
学童期:一緒にスポーツ、トランプ、五目並べ、将棋、テレビを消して読書、一緒に宿題、家族会議・・・
思春期:勉強で分からないところを一緒に考える、将来について語る、親が自分の青春時代を語る・・・

おまけ・・・
 「早起き、早寝、朝ご飯そして朝うんこに外遊び」 『五か条の御誓文』
 「寝たまま保育園に連れて行かれる赤ちゃん、ボーッと疲れた表情の小学生、夜のテレビやコンピューターに没頭、深夜のお店でみかける子どもたち、はたして、このような生活は脳の発達に影響はないのでしょうか?」 日本の子どもたちの生活パターンの急激な変化には、現在急速に進行している社会全体の夜型化が大きく影響しています。
 過去数百万年間ヒトは太陽光の下で活動し、夜は休息するという生活リズムを維持してきました。 現在私たちをとりまく社会生活の夜型化は、人類史上未曾有の急激な生活環境の変化です。 今、日本の子どもたちは思いっきり外で遊ぶことやしっかり眠ることも難しくなっています。 大人が知らず知らずのうちに自分たちの生活パターンに子どもたちを引き込み、結果として大人が子どもたちを眠らせないようにしてしまったのです。
 子どもたちに適切な養育環境を提供するのは大人の務めです。 最新の脳科学の進歩でわかってきたのは、発育期における睡眠の大切さと健康維持における生体リズムを整えることの大切さであり、生体リズムに対する光や社会環境の影響です。 ヒトはなにも特別な生き物ではありません。 朝の光を浴び、昼間十分な活動をすることで安定した生体リズムが得られます。 リズムは脳内の神経伝達物質に影響します。 つまりリズムが脳を育むのです。 
 子どもたち(大人も同じ)が1日調子良く生活できるための必須条件が表題に掲げられています。 決して難しいことではありません。 早起き、早寝、朝ご飯そして朝うんこに外遊びです。 子どもたちが元気で賢くすくすく育つための『五か条の御誓文』です。

[メモ]

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
width=1
width=1
width=1
これでいいのか? 市民運動会での特別喫煙場所!
 境港市公式HPに質問、某保護者、2006年05月03日

 境港市立S小学校に子どもがお世話になっている保護者の一人です。 我が境港市は3年前から学校保健会の提案により、市教育委員会の英断で、鳥取県下では初めての市立小中学校全面的敷地内禁煙が実施されました。 このことで、子どもたちを安心して学校に登校されることが出来るようになりました。 我が境港市の教育委員会のすばらしさを実証したものだと高く評価されます。
 しかしながら、今回、市内S地区の市民運動会のプログラムには下記の記載があります。 S地区の運動会は例年通り市立S小学校で5月14日に開催される予定です。 「お願い:S小学校の敷地内は全て禁煙になりました。 今回は特別に喫煙所を設けますのでマナーを守ってご利用下さい。 (校舎トイレ入口周辺とグランド南側の空地) 皆様のご理解とご協力をお願い致します。」 
 決められた規則を大人の都合で無理矢理ねじ曲げて、犠牲になるのは子どもたち!だと思います。 このような論理がまかり通るのであれば、『急ぎの時には、事故を起こさない限りスピード違反をしても良い』と同じことだと思います。 断固抗議いたします。
 そこで、S地区の公民館長、S小学校の校長先生、市学校保健会会長、市教育長、市教育委員長および市長に全面的な敷地内禁煙の励行をお願いするとともに、S地区の公民館長、S小学校の校長先生、市学校保健会会長、市教育長、市教育委員長および市長に下記の質問をいたします。 ぜひとも、運動会が開催される5月14日までにご回答頂くとともに、このHP(境港市のHP)上で公開して下さい。

 質問事項
 我が境港市の子どもたちのために、ぜひとも当日の全面的敷地内禁煙の実施につきまして、ご尽力いただきますようお願いします。 また、このような決められたことを大人の論理でねじ曲げることに対して、事前に相談があったかどうか、あったならばどのようにご返答されたのか? なかったのであれば、今回の事態をどのように考えておられるのか、お答え下さい。 我が境港市の子どもたちのためです。 何とぞ迅速な行動と配慮をよろしくお願いいたします。 (質問日、2006年5月3日)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 「テレビ育児番組」ただいまレギュラー出演中
2006年4月19日  境港市 岡空小児科医院 岡空輝夫

 やんごとなき理由により、平成17年4月から山陰放送で、毎月最終土曜日午前11時30分から15分間、子育て支援番組にレギュラー出演しています。 理由は何かって? ご想像にお任せします。
 番組制作の理念は、「近年若い母親を中心に、子育てに悩んでいるケースが多くみられます。 核家族化や少子化がすすむ社会で、今、どう子育てをしていくのか。 番組では小児科医師の「育児教室」をはじめ、地域で行われている身近な活動を紹介しながら、楽しむ子育てを考えます。」ということです。
 私の担当は「てるお先生の育児教室」と題して、毎月のテーマを絞り、約5分間出演しています。 放送日とテーマは以下の通りです。
2005年放送分
第1回4月30日(土)、春から初夏にかけて流行する子どもの病気について
第2回5月28日(土)、りんご病(伝染性紅斑)について/子どもの食事について
第3回6月25日(土)、たばこの害からこどもたちを守る!
第4回7月30日(土)、夏を元気に過ごす! 着るものの工夫・食べ物の工夫・冷房の工夫・水分補給について
第5回8月27日(土)、教えて! てるお先生! お父さん・お母さんからの質問にてるお先生がアドバイス
第6回9月24日(土)、子どもの発熱と対処法について
第7回10月29日(土)、子どもの事故防止について
第8回11月26日(土)、小児ぜんそくについて
2006年放送分
第9回1月28日(土)、インフルエンザについて
第10回2月25日(土)、予防接種が変わります
第11回3月25日(土)、花粉症/アレルギー性鼻炎
次回は2006年4月29日(土)です。 テーマは抗生物質と耐性菌を予定しています。 乞うご期待!
 テレビ出演の利点と欠点について考えてみました。 利点と言えば・・・正しい育児知識の普及(誤った育児の仕方を改める)、患者さんから、「せんせ、テレビに出チョッタね!」と言われること、出演料が頂ける(私のお小遣いになった!)、録画して院内で繰り返し、上映できる(実施中!)など。
 欠点は・・・意外と時間がかかる(実質5分の出演で、録画撮りは最低2時間)、結構ストレスなんですよ!、増患にはほとんどならない(欠点ではないね)などでしょうか。
 まあ、何はともあれ、いつまで放送が続くかわかりませんが、子育て中の保護者に寄り添い、少しでも手助けができればいいと思い、今後もがんばります。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 境港市美保町、健康に関する講演会
  2006年3月12日 岡空小児科医院 岡空輝夫

第1部 高齢者は「幸齢者」
第2部 子どもの食事と栄養 ム良い生活習慣は家庭からム
第3部 喫煙者は10年早死に! たばこの真実

 医者の不養生ではいけません。 仲間うちで、「ぼけ防止の10か条」を作ってみました。
1. 適正な睡眠時間(7〜8時間、1時間以下の昼寝もOK、その場合夜は6〜7時間)
2. 喫煙はしない(減らしてもだめ!) 
3. 適正体重を維持する(標準体重〜ちょっと小太り程度まで) 
4. 過度の飲酒をしない(最大清酒2合、ビール大瓶2本程度まで) 
5. 定期的にしっかり運動をする(行き過ぎはよくない) 
6. 朝食を毎日食べる(日本食を中心として、三食をきちんととる) 
7. 間食をしない(何らかの理由で、臨時の補食はかまわない) 
8. 毎日、新聞/小説などの活字を読む(テレビ/ビデオばかり見ない) 
9. 適度におしゃれ(清潔な体、きちんとした服装、体臭や口臭に留意)をする。 
10. 異性への関心を持ちつづけ、話のできる異性の友人を持つ(ただし、脱線/転覆しないこと) 
蛇足
・ 一人で一日中パソコン相手に閉じこもっていないこと。 
・ ボランティア活動をすること。 
・ 本気で怒らない(激怒しない)こと。 
10か条+αを実践して、元気な幸齢者として生きよう!

岡空輝夫
684-0003 境港市浜ノ町127番地 岡空小児科医院
(電話)0859-47-1234 (FAX)0859-44-2001
okasora@enjoy.ne.jp  http://www.okasora.com/

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

どうなる、日本脳炎ワクチン? 小児科医の本音の本音!
境港市、岡空輝夫

 「日本脳炎ワクチンは中止になったようですが、本当に受けなくて良いのでしょうか? 先生の本音を聞かせて下さい!」と、保護者の方からこのような質問をたびたび受けます。 はじめは建前だけ述べてきましたが、この頃は本音を語ることが多くなってきました。 以下に建前と本音を概略します。
 私たち開業医は自治体首長の委嘱を受けて、DPT/麻疹/風疹/日本脳炎などの個別接種を子どもたちに、受けましょうね!(積極的勧奨)と言ってきました。 今回は日本脳炎の予防接種をすすめない(積極的な勧奨を控える)ように組長の命令を受けているわけです。 したがって、委嘱を受けた医師の立場からは、対象年齢の子どもたちに「どうぞ受けましょう」という積極的な勧奨はできません。 
 ただし、感染症を多く診る専門家の立場としては異なった考えを持っています。 これからが個人的な本音の意見とお考え下さい。 
(1)日本脳炎は年間10例前後の患者発生があります。 
(2)予防接種を中止すると、患者増加の危険性は否定できません。 
(3)今回の実質的中止は根拠も乏しいまま、いかにも大事件が起きたかのような通知の仕方は現場を混乱させただけの感じがします。
(4)ワクチン製造メーカーは現行のワクチン製造を中止していますから、接種も有効期限が切れたらできなくなります。 今のうちならまだ在庫がありますから接種可能ですが、いずれ現行のワクチンはなくなり、新しいワクチン(組織培養ワクチン)も安定供給されるか全く保証されていません。
(5)蚊に刺されないという自信のある親はいませんし、またどこでブタを飼育しているかもわかりません。 感染している蚊に刺される危険性は誰にも分からないのです。
(6)接種対象年齢を過ぎた場合の対応などの経過措置も全く決まっていません(勧奨接種対象外となり、有料になるかもしれません)し、未接種者(積み残し)も溜まっていくだろうし、不確定要素が多すぎます。 
(7)結論としては、接種を希望する人は今のうちに済ませておいた方がよいと思います。 最悪の事態としては・・・日本脳炎の流行+ワクチン不足=ワクチン探しの大パニック!も想定されます。
(8)本音です。 自分の子どもには迷わず受けさせます!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

子どもとテレビ(子どもにとって、テレビは有益か有害か?)
米子商工会議所、講演会 境港市、岡空輝夫(小児科医)  2005.3.17

はじめに
 みなさん、こんにちは。 肩の力を抜くために、アイスブレーキング各種。

日本人の体力と学力
 なぜ、学校の体力測定で背筋力測定がなくなったのか?
 なぜ、学校の運動能力測定で走り幅跳びがなくなったのか?

日本人の学力/体力・運動能力は現在40歳〜45歳の人をピークとして低下中!

今時の高校3年生の体力/運動能力は2極分化!
 女子の1000m。 早い生徒は早い! 遅い生徒は極めて遅い! 昔は遅い子でもそこそこ走れた。 男子の1500mも同様。 女子の方が顕著。
 女子(大学1年生)の腕立て伏せ・・・ 1回も出来ない子もある???

な〜ぜ〜???

ちなみに・・・
 文明とは人間を横着にする(夏目漱石)
 商業でも2極化? 実家の酒造業でも同じ。 安いか上等か!

子どもの遊び場(土、砂、山、川・・・)はこの50年間で100分の1に!
テレビは50年! ビデオは20年くらい? テレビはまだ良かったが、ビデオは・・・

健康・・・
 精神(心、頭)/構造(身体)/化学(食べ物)+休息(睡眠)、運動
 食べ物が身体を作り、心/頭を働かせる。 
 孫はやさしい(豆、胡麻、わかめ、野菜、魚、しいたけ、いも)
 おやつとお菓子 お茶とジュース 違いは何?
赤ちゃんはテレビやビデオから言葉(コミュニケーション能力)を獲得するか?
 否〜大切なことは共同注意joint attention! 乳児/物/母親
 早期教育ビデオ vs 絵本の読み聴かせ、養育者との会話
 MLB中継 vs 草野球(キャッチボール)
 虚像、仮想体験(バーチャル)vs 実像、実体験、現実体験

脳科学と前頭前野(前頭連合野)
 前頭連合野の働き:問題解決能力=頭がいい、社会で役に立つ
 前頭連合野の発達は小児期の外遊びと関連している!

成長の時期によって必要なもの/やらなければならないものがある。
 乳児期:母親の温もり、母乳、たっぷりの愛情、語りかけ・・・
 幼児期:外遊び、いたずら、生き物に触れる、絵本の読み聴かせ、会話・・・
 学童期:外遊び、運動と空腹、生命の意味、読書、睡眠、達成感、礼儀作法・・・
 思春期:夢、目標、挑戦、異性を尊重、命の尊厳、勉学、自己肯定・・・

子どもとメディアに関する実態調査(資料1)
幼児期のテレビ・ビデオ視聴に関する調査・研究(資料2)
「ノーテレビチャレンジ」から「アウトメディア大作戦」へ(資料3)
「日本小児科医会」提言 2004.Feb(資料4)
「日本小児科学会」提言 2004.Apr(資料4)

テレビなどメディア(ゲーム/携帯電話など)は有益か?有害か?
 乳児期:不必要!
 幼児期:保護者といっしょに。 長時間反復視聴は有害。
 学童期:外遊びや睡眠の確保を邪魔しない程度に制限が必要。
 思春期:メディアリタラシーの習得が大切。 特に携帯電話。
 要は使い方(利用の仕方)。 有益なものも使用を間違えれば有害となる。

最後に一言
 たばこは寿命を10年縮めます。 家族にも健康被害。 今からでも間に合います!
 40歳で止めれば9年、50歳でも6年、60歳でも3年長生き出来ます。

岡空輝夫
〒684-0003 鳥取県境港市浜ノ町127番地 岡空小児科医院
電話0859-47-1234 FAX0859-44-2001
Eメール okasora@enjoy.ne.jp
http://www.okasora.com

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
個人情報不正利用で、訴えてやる〜! (鳥取県医師会報596号) 2005.02.24

 平成17年1月19日、Y市記者発表(K病院の患者個人情報不正利用について)。 K病院のS科患者さんの個人情報不正利用が判明した。 これに関与したと思われる元K病院職員の行為はY市個人情報の保護に関する条例第40条(不当目的使用)、刑法第134条第1項(秘密漏示)及び地方公務員法第60条第2号(秘密漏示)に該当すると思われるので、現在、法的手段をとるため警察と相談を進めている・・・。
 どんな悪事を働いたかというと、元K病院職員(医師)が在職中に関与した患者さんの個人情報を利用し年賀状を出した、ということのようです。 Y市インターネット市政提案箱に「はがきが届き、氏名住所は個人情報の漏洩ではないか!?」との通報があったのが発覚のきっかけです。 かいつまんで言うと、医師が在職中の病院から患者情報を個人的に入手/保管し、退職(転勤)後に保管してあった個人情報(住所/氏名)から年賀はがきを出した、ということになろうかと思います。
 Y市のホームページには関与した元職員2名の本名と現在の勤務病院名が公表されています。 年賀はがきを出した理由は患者誘導のためなのか?単なる転勤のあいさつなのか?は不明ですが、まさに重大犯罪者あつかいです。 医療機関も今後はますます個人情報の管理を厳密に行う必要があると思います。 そういう意味では、私たちが何気なく(もちろん善意の行為として)行っている患者の個人情報の交換もひとつずつ見直していく作業が求められます。
 最近、総合病院外来紹介時に患者さんの診療情報(紹介状)とともに事前にFAXでの保険情報(予約申込書)も要求されるようになってきました。 善意の行いとは言え、職員の何らかの手違いや他者の悪意によって個人情報が漏洩した場合、情報発信したものとして何らかの責任を負うこととなるかもしれません。 診療所を預かるものとすれば、できる限りリスクは避けたいのが本音です。 紹介状は診療所の責任において記入し、患者さんに直接手渡すのは当然ですが、予約申込書は患者自身が記入し、郵送あるいは自宅やコンビニなどで自己責任においてFAXするというシステムの検討を是非お願いします。   

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
鳥取大学医学部小児科・周産期医学分野講義(4年生) 2004.12.08 
「小児保健と予防接種」 講師:岡空小児科医院 岡空輝夫
(1)アイスブレーキング各種
* どんぱん節
* 究極の選択その1
* 究極の選択その2
* 究極の選択その3
* あんたがたどこさ
(2)エドワード・ジェンナーの生涯と業績
 英国の医師ジェンナー(1749-1823)は牛痘接種法の開発者であり、それは現代のワクチン(予防接種)療法の先駆けをなすものであった。 彼は英国南部のバークレーに生まれ、1770年から3年間ロンドンで勉強した後、1773年に故郷に帰って開業した。 その地で搾乳婦は軽い牛痘に罹るとその後は強い天然痘の流行にも安全だという伝承にヒントを得て、慎重な観察と研究の後に1796年牛痘に罹った搾乳婦の水疱内容物を8歳の健康な男児(フィリップ少年)に接種し、その牛痘が治った後、人痘を接種して無事に経過したことを確認した。 その実験の2年後、ジェンナーは前期のデータを含む計23例の所見から、天然痘予防において牛痘接種が安全かつ確実な効果があることを結論付け、論文にまとめて公表した。 はじめは世間から顧みられず激しい反対にもあったが、その後の多数の成功によって効果は疑いのない事実として認められるようになり、1802年以降英国はジェンナーの事業に国庫補助等を行い、国をあげて牛痘接種の普及に努めた。 種痘法は短期間に世界の文明諸国に伝わり、日本には19世紀初頭に情報は伝わっていたが、種痘法が実際に導入されたのは1840年代末であった。
 ジェンナーの開発した種痘という武器を持ちながらも1960年代まで160年以上にわたって天然痘は毎年何十万人という患者発生を記録し依然人類の強敵であった。 しかし、1977年アフリカ大陸ソマリアで発生した患者を最後に天然痘患者は地球上から根絶された。 これは医学史上空前の快挙である。
(3)予防接種の意義
A感染症
 患者発生数20万人/年 罹患率100% 入院率50% 死亡者数20人/年 
 Aワクチンの効果 99%(ほぼ一生効果が持続) 
B感染症
 患者発生数1000万人/年 罹患率10% 入院率1% 死亡者数1万人/年
 Bワクチンの効果 60%(接種後4ヶ月間)

例えば、インフルエンザワクチン。
有効率60%、罹患率10%。 (その他、罹患死亡率、副作用発現率など)
A群、ワクチン接種100名 10名が接種部位の腫脹、その他重症の副反応なし。
B群、ワクチン未接種100名 1名インフルエンザで入院。 死亡者なし。
インフルエンザ罹患者
A群:100×10%×(100-60%)=4人
B群:100×10%=10人 
インフルエンザ罹患という見地からすれば、A群の6名のみワクチンの恩恵を得た。
罹患した4名は軽症化した可能性はある。 残りの90名はワクチン接種の恩恵はない。 10名は接種部位の腫脹あり、そのうち9名は副反応のみで、ワクチン接種の恩恵は全くない。
ただし、統計上はインフルエンザが流行すると、数万人レベルの高齢者を中心とする超過死亡が発生し、その原因としてインフルエンザが考えられている。
あなたは現行のインフルエンザワクチン接種を薦めるか否か?

おまけ:「結核予防法施行令の一部を改正する政令」が2004年10月1日の閣議で決定され、法に基づく定期健康診断の対象者や定期予防接種の時期などが見直された。 施行は来年(2005年)4月1日から。 
対象者と接種方法
改正前(2005年3月31日まで)
 対象年齢:生後3ヶ月から4歳未満
 接種方法:ツベルクリン反応検査を行い、約48時間後に判定。 陰性でBCG接種をする。
改正後(2005年4月1日から)
 対象年齢 ⇒生後6か月未満
 接種方法 ⇒ツベルクリン反応検査を行わず、直接BCG接種をする。
 BCG接種予定日までに4歳未満であれば、2005年3月までは従来どおり接種可能である。

(その他の資料は省略)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 子どもたちから直接、話を聴こう(問診をとろう)!

 小児科医になって25年目になります。 私の診療所を訪れる方々の中には、「○○さん、どうぞ」とお呼びしても返事をしない保護者の方、「おはよう」とあいさつを投げかけても黙ったままの子どもたち、「頭はいつ頃から痛いの?」と、病状について尋ねても親の顔色を伺い何も言わない中学生(代わりに保護者の方は子どもたちの病状について詳しく話す)など、ちょっとしたあいさつやコミュニケーションもとれない場面や肝心の患者さんはだれなの?と思いたくなるなどが時々見られます。
 どうしてなのでしょうか? 小学生の低学年くらいまでは、勉強より(もちろん、勉強も大切ですが・・・)自分の思っていることを相手に伝える力を養うことが大切だと私は常々思っています。 私が子どもの頃(昭和30年代)、子ども達は友だちと遊び、家庭で両親や祖父母と触れ合いながら、また、地域のおじさんやおばさんに声をかけてもらい、自然に自分の思いを相手に伝える力を伸ばしていました。 ところが、最近では友だちと地域で遊ぶ時間が減少し、地域の人たちとの交流は減り、さらに家に帰っても誰もいないというケースも増えているのですね。 要するに他人とのコミュニケーションをとる方法を知らない(練習不足)のであり、さらに保護者の過保護と言うべきか、保護者のおせっかいが追い打ちをかけていると考えられます。
 私たち開業医は子どもたちと直接接し、話す機会に恵まれています。 私は重症の病気の時は別として、小学生以上は原則として患者本人から問診をとる(話を聴く)ようにしています。 前述のように保護者の方がべらべら話される場面も多いですが、患者さん本人に再度聴くようにします。 すると、大抵の保護者の方は、「そうですね。 自分のことだから、自分で言いなさいね!」と分かってくれます。 ただ、中には中学生になっても、全くの経験不足のためか、黙り込んでしまい、問診が全くとれない場合もあります。 その場合には、次回からは話そうね!ということで、直接の問診は次回まわしとします。 
 すべての医院で子どもといえ問診を直接本人から聴取することとすれば、子どもたちのコミュニケーション能力開発の一助になるのかもしれません。 多忙時には時間もかかり大変ですが、少しずつ子どもたちは本当のことを話してくれます。 保護者の方から聴取する問診は意外と当てにならないことも多々あります。 正しい診断は正しい問診が第一歩と思います。 そういう意味では、子どもとはいえ患者さん本人から問診をとるということは、有意義なことと思います。 さあ、子どもたちから直接問診をとろう! そして、子どもたちに向かって病気の説明、薬の説明をしよう!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 よく遊び、よく学べ!

 新潟大学大学院医歯学総合研究科腎研究施設創立30周年、まことにおめでとうございます。 わずか10ヶ月という短期間(1988.5-1989.2)ではありましたが、当時の文部省内地留学制度の研究生として、鳥取大学小児科学教室(白木和夫教授)に籍を置いたまま、腎研究施設(免疫病態学部門、清水不二雄教授)でお世話になりました。 当時の免疫病態学部門は、ラット腎糸球体に対するモノクロール抗体(MA5-1-6やMA1-22-3など)の研究や糸球体細胞の培養も盛んに行われ、日曜/休日も関係なく朝早くから夜遅くまで活気に満ちあふれていました(もちろん、今はそれ以上でしょう)。 
 鳥取大学小児科では腎疾患を担当してはいましたが、動物実験や細胞培養などはずぶの素人で、しかも全くの部外者を暖かく迎え入れていただき、16年経過した今でも感謝の気持ちで一杯です。 また研究の一端に触れさせていただきましたことは、私自身の一生の思い出です。
 そういった研究漬けのなかで、時には息抜きにテニス/ジョギング/スイミング/スキーなど、先生方の切り替えの早さには感服いたしました。 学内駅伝競走(矢尾板先生、激走!)や医局対抗野球(なんと2勝!)に参加させていただき、今でも鮮明に覚えています。 まさによく遊び、よく学べ!の典型を経験させていただきました。 私自身は8年前から故郷で小児科医院を開設いたしました。 日々の診療において今の子どもたちを見ていますと、「よく遊び、よく学べ」という精神が欠けているように思います。 遊ぶ時はしっかり遊ぶ、ただし、勉強をする時にはパッと気持ちを切り替えて勉強する! そのような「腎研精神」を未来ある子どもたちに伝授しようと日々努めています。 「遊べ、遊べ! そして、しっかり学べ!」と。
 これからも新潟大学大学院医歯学研究科腎研究施設のさらなる発展を心から祈念いたします。 最後に、快く内地留学を承諾し、送り出していただいた白木和夫先生に深謝申し上げるとともに、この栄えある30周年記念式典に出席できない非礼をお許し下さい。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 「信州セミナーの想い出」

 信州セミナーとは信州大学医学部病理学教室と新潟大学医学部腎研究施設各教室が合同で、勉強しながらスキーをするという伝統ある行事です。 その20周年記念誌に投稿させて頂いた文章です。

 自己紹介させていただきます。 1954年、鳥取県境港市生まれ、一貫して鳥取県内で生活しておりましたが、志しあって1988年5月〜1989年2月の10か月間、当時の文部省内地留学生として、新潟大学医学部腎研究施設免疫病態学部門(清水不二雄教授)にお世話になりました。 鳥取大学医学部準硬式野球おちこぼれ科スキー距離専門分野を卒業した身ですので、勉強はさておきまして、医局対抗野球(2勝!)、駅伝大会はもちろんのこと、夕方のジョギングや水泳、時にテニスと体育部門は必ず参加させていただきました。 その締めくくりが1989年2月の信州セミナー(栂池高原)でした。
 最愛の妻子を新潟に残し、泣く泣くJRで信濃入りしたように記憶しております。 セミナー当日は研究結果発表の機会も与えていただき感謝申し上げます。 昼は絶好のコンデイションで滑りまくり、十分疲れたあとに入浴+ビール+夕食とくれば、通常はおやすみなさいですが、そこからまさに木原教授、重松教授、清水教授を交え、激論に継ぐ激論で、まさに「よく遊び、よく学べ!」の典型を教えていただいたように思います。
 1989年3月には鳥取大学小児科に帰学致しましたが、その後も1995年のセミナーまで、連続7回参加させていただいたと記憶しております。 妙高杉の原、乗鞍高原、志賀高原、北志賀竜王、赤倉温泉などの各スキー場でしたでしょうか。 1996年秋からは、郷里の境港市で小児科医院を開院いたしましたが、開業後にもっとも残念なことはこのセミナーに参加できなくなったことです。 2月というと通常はインフルエンザが流行し、小児科医院の稼ぎ時なのです。 
 信州への思いを断ち切れず1999年末〜2000年正月に思い出の栂池スキー場に家族旅行で行きました。 ちょうど2000年問題の最中で、人出は思いのほか少なく、家族といっしょに楽しくかつ存分に滑りましたが、勉強はしませんでした。 今や開業8年目になりました。 そろそろ、患者さんに許していただいて、セミナーに参加しようかな? なんて、思っている今日この頃です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 先天性風疹症候群(小児疾患と文学、角田昭夫著より)

 風疹予防接種経過措置が平成15年9月末で終了した。 風疹ワクチンの予防接種は通常幼児期(1歳〜7歳6か月未満)に行っているが、平成6年の予防接種法改正による経過措置として、平成7年4月1日から平成15年9月30日までの間、昭和54年4月2日から昭和62年10月1日までに生まれた人が対象として、特別に接種していた。   しかしながら、この経過措置の対象者には未接種者が多く、近い将来風疹の流行、言い換えれば先天性風疹症候群発生の悲劇が危惧される! 
 この文章は鳥取県医師会報:会員のひろば平成15年6月号に寄稿したものの一部である。 自治体の担当者に風疹の経過措置の件を問えば、「市町村報に掲載し、住民への周知は行っている」という、まさに判で押したような返事が返ってくる。 市町村報への掲載で実効性はあるのか? 答えは「否」である。 なぜなら、15歳〜23歳の接種対象者自身へのモチベーションにならないからである。
 小児外科医として著名な角田昭夫先生が書かれた「小児疾患と文学」(日本医事新報社)の第1章に(先天性)風疹症候群の記述がある。 抜粋してみる。 風疹症候群を知らない小児科医はいないが、風疹症候群をモチーフにした推理小説はと聞かれた場合、よほどのマニアでないと答えられないのではなかろうか? アガサ・クリステイの「鏡は横にひび割れて」(The mirror crackled from side to side)がそれである。 あらすじを述べる。 セント・メアリ・ミードの一画にある豪邸に、昔は素晴らしい美人だった米国人女優夫妻が引っ越してくる。 その引っ越し披露を兼ねた野戦病院協会主催のチャリテイ・パーテイの席上、事件が起こる。 宴たけなわの頃、主催協会の有力幹事である婦人が、カクテルに入った毒物で殺されるが、犯人は映画女優であった。 この二人がそれまでに面識があったとは考えられないため、殺人動機が不明であり、したがって犯人は例によってなかなかみつからない。 最後に女優自身も多量の睡眠薬を飲んで死亡した後に犯人と判明するが、その殺人の動機が風疹症候群なのである。
 このような推理小説を教材として高校教育の現場で活用してもらってはどうだろうか? 翻訳本(ハヤカワ・ミステリーなど)を読書感想文の課題図書としても良いだろうし、原文の一部を英語の授業で取り上げてみても面白いと思う。

追記:なお、風疹の予防接種は任意接種として、自費(当院では8400円)で受けられます。 一生のこと(次の子どもたちのことも考えれば、二生、三生のこと)です。 けっして高くはないと思います。 未接種の方は是非受けましょう!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 結核予防法施行令改正(定期接種は6ヶ月までに!)
 2004.10.29

 「結核予防法施行令の一部を改正する政令」が10月1日の閣議で決定され、法に基づく定期健康診断の対象者や定期予防接種の時期などが見直されました。 施行は来年(平成17年)4月1日からです。 
 特に市町村が行う定期予防接種の時期は、現行の4歳未満から生後6ヶ月(特別の事情によりやむを得ない場合は1歳)までに改められます。 経過措置はなく、来年4月以降1歳以上は定期接種から外されます。 ただし、希望者には任意接種としての受けることができます(ただし、有料です)。
 もう少しくだけた表現をしますと、今までは4歳未満(一般的には何らかの免疫不全症などを除くために生後3ヶ月以降〜4歳未満を対象としています)の乳幼児にツベルクリン反応を実施し、陰性者に対してBCG接種を行っていますが、平成17年4月以降は6ヶ月未満(おそらく前述の理由で生後3〜6ヶ月が対象となると思います)の乳児にツベルクリン反応は行わず、BCG接種を行うこととなります。 BCG接種は結核性髄膜炎や粟粒結核など小児の重篤な結核の発病予防には特に効果は確実とされています。 そのため乳児期早期にBCG接種を行うことは大変意義があることです。
 問題は来年の4月で6ヶ月(あるいは1歳)になるBCG未接種乳児をいかに少なくするかを考え、実行することだと思います。 行政に任せっきりでは、自治体により多数の未接種者が出ることが予想されます。 ここは一発、医師会および地域のお医者さんが、一肌脱いで行政に働きかけて頂きたいと思います。 何をすれば良いかって? 住民への周知、集団BCG接種回数の増加(最低でも年に6回、できれば毎月)、BCG接種の個別化などなど・・・を是非、自治体の担当者に掛け合って頂きたいと思う次第です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 「何もしてごさん小児科医」 CCO NEWS(2004年11月)            

 大学を卒業して丸々25年が経ち、今年で満50歳になります。 卒業後の内訳は大学院生4年、大学病院勤務医7年半(内地留学1年)、市中病院勤務医6年そして開業医になってからの7年半です。 
 開業してみて、あらためて認識したことがあります。 今さらこんなことに気づくなんて遅いのかもしれせんが、子どもたちの(人間として、生命体としての)自然治癒力です。 勤務医時代は何はさておき検査/投薬/点滴/入院という選択を優先し、木だけ見て森を見ていなかったように思えてなりません。 「そりゃ、年取ったからだよ!」と言われるのかもしれませんが、遅ればせながらも反省の日々を送っています。
 発熱で受診した小児に抗菌剤投与が必要か? 今まではあまり悩まずに使用していた・・ 子どもたちの歯を着色させるミノサイクリン(商品名、ミノマイシン)投与は? 小児への使用は数年前から完全に止めた・・ 嘔吐があればそれだけで点滴をするのか? 浣腸で排便を促し、適切な水分補給/食事指導でほとんどは治ってしまう・・ 鼻水だけの乳児に風邪薬が必要か? さっさと薬を処方してしまう方が楽だけど・・ 軽症のインフルエンザにも特効薬(タミフルなど)を処方するのか? 社会的適応は考慮するとしても、乱用は慎みたい・・
 もちろん、中には失敗がありますね。 抗菌剤を出さなかったら、中耳炎を併発した/溶連菌感染症だった。 点滴をしないで帰したら、嘔吐が止まらず夜間に救急病院で点滴してもらった。 軽症だと思っていたインフルエンザが、その晩に40度も熱が出た。 そんなこともあろうかと「今のところは大丈夫です。 先のことはわかりません。 何か変化があれば、その時点で最善の策を考えましょう。」と、かならず付け加えるようにしています。 「○○に行っても、何もしてごさん!」と言われながらも、必要最小限の医療を提供する(言い換えれば、子どもたちにやさしい)「何もしてごさん小児科医」を理想として邁進しようと思っています。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
width=1
 高校を卒業する我が子へ贈ることば CCO NEWS(2004年5月)
  「世に生を得るは事を為すにあり」       

 君が小学校2年生の時、勤務していた病院(○○県立中央病院)に電話がかかった。 交通事故にあったと・・・! 救急車で運ばれてきた君は「左足頸骨/腓骨骨折/骨端線離解の疑い」の重傷だった。 手術のあと2週間の入院治療/2ヶ月間のギブス固定後、骨はつながった。 その後の成長障害も懸念されたが、幸いにも後遺症なく治癒した。
 中学校では親の思い入れからか野球部に入部したが、今度はスポーツ障害の一種であるオスグット病や骨折(運動会で転倒)などにより、満足に練習できずスコアラーに徹した。 3年の夏には県大会で準決勝まで進出(3位)したが、君自身もちろん出場の機会もなく、内心忸怩たる思いだった事だろう。 3年前S高に無事入学を許され、今度は硬式テニス部に入部した。 
 硬式テニスは全くの初心者であり、1年生の時はとまどいがあったようだが、2年生からは、テニス自体を楽しみ、同時にめきめき上達したように感じた。 3年生では毎日をはつらつと、親から見てもたくましささえ感じる様になった。インターハイには出場できなかったが、シングル/ダブルスともに県でベスト16までなった。
 高校時代クラブ活動もしないでブラブラしていた親と違い、硬式テニスを3年間頑張った君に心から賞賛の意を伝えたい。 部活動と勉強の両立は大変だったと思うが、今後の人生に必ずや役に立つだろう。 卒業後は、周囲の目を気にせずに自分の志す道を進んでくれれば良い! 最後に坂本竜馬の言葉「世に生を得るは事を為すにあり」を君に捧げる。
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 米子東同窓会報「勝陵」 同期生便り 岡空輝夫(69期)
 「野口みずきの金メダル、25kmでスパート」

 今年のアテネオリンピックは日本人選手の活躍で多いに盛り上がった。 時差の関係で、ほとんどの試合は真夜中を過ぎた頃に実況中継され、Liveで観戦された同窓生諸氏は寝不足だったことと推測する。
 筆者は米東69期(昭和48年卒)であるが、2年生(昭和47年)の時に、ミュンヘンオリンピックが開催され、同じように時差と戦いながら、ラジオやテレビの実況中継で応援したのを、つい最近のことのように覚えている。 今回のアテネでは北島康介選手の男子平泳ぎ100m、200m2冠、柴田亜依選手の女子800m自由形優勝で湧いたが、ミュンヘンでも田口信教選手(男子平泳ぎ100m)、青木まゆみ選手(女子バタフライ100m)が金メダルを獲得した。 また、男子バレーボールが初の金メダルを取ったのも記憶に残っている。 天才セッター猫田選手(「天井サーブ」もすごかった)や左右のアタッカー横田選手と大古選手、「一人時間差」を考案した森田選手、さらに準決勝ブルガリア戦で、セットカウント2対0の大ピンチを救った大ベテランの中村選手、南選手の得点のたびにコートを走り回る姿は忘れられない。 この逆転勝利は深夜の衛生中継をテレビのLiveで観戦した。
 今回も女子マラソンで金メダルを獲得した野口みずき選手のがんばりに感涙したが、彼女がスパートしたのは25km手前、人の一生に例えれば50歳くらいとでも言えようか? 私含め69期の面々は今年度末で全員50歳になる。 人生の金メダル目ざして、スパートのタイミングを見計らなければならない大切な時期である。
 私は職業柄医師として、すべての同窓生に提案したい事がある。 それは禁煙である。 以前から喫煙の害は言われていたが、具体的に判明したのはつい最近である。 簡単に言えば、喫煙者と非喫煙者の平均寿命は10年の差がある。 悪性腫瘍、心臓/脳血管障害、慢性呼吸器疾患などの疾病により、早く逝ってしまうのである。 もう何十年も吸ってしまっているので、今さらと思われるかもしれないが、必ずしもそうではない。 40歳で喫煙を止めれば、吸い続けるより9年、50歳からでも6年長生きできるのである。 60歳、70歳からでも遅くはない。 しかもニコチンパッチという力強い味方もできた。 タバコを辞めて、長生きしよう! 年金を貰って、孫や曾孫の成長に目を細め、オリンピックやサッカーワールドカップに一喜一憂する元気な老後を迎えようではないか! 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「外来小児科」一口メモ 2004年7月
随筆:年末/年始の診療所オープンはいかが?

 昨今、救急医療特に小児救急はいつも話題に上ります。 皆様方の地域ではいかがですか? 小児救急医療体制は整備されていますか? 筆者の地域、すなわち鳥取県西部地区では人口ベースの問題もあり、小児救急が365日、24時間整備されているわけではありません。 私の住む人口3万あまりの境港市では、独自に日曜休日応急診療所を設立しています。 名称どおり、日曜と祝日そして年末年始の休日に市役所の敷地内で、事務職/看護職/医師(内科医、小児科医が中心)それぞれ1名で救急医療に従事しています。 
 通常の日曜日などは、午前と午後をあわせても20名程度の救急患者数であり、待ち時間もさほどでもありません。 ただ、昨年の大晦日に私自身が出務した時は、いつもと事情が異なっていました。 午前9時から12時すぎの3時間あまりの予定でしたが、40名以上の小児を中心とした救急患者で狭い待合室は、人いきれで溢れていました。 一般の診療所であれば、半日で40名前後の患者さんはさほど多い数字ではありませんが、カルテ作成などの事務作業が重なり、結果的に待ち時間が相当長くなってしまい、受診された方はおおいに不満だっただろうと推測できます。
 これじゃ、何のための救急診療所だろうか? 個人的に何かできないだろうか? そこで、新年早々に職員を説き伏せて、大型連休に半日、そして年末年始は暦通りに診療所をオープン(近くの総合病院外来が閉鎖される1月4日までオープン、ただし1月5日から1週間はお休み)する決心をしました。 たまたま、今回の診療報酬改訂で、自主的な診療所オープンでも6歳未満の時間外/休日加算が認められるようになり、厚労省の施策とも合致すると思います。
 大型連休の中日(5月3日)午前中だけでしたが、診療を行いました。 半日で40数名の来院あり、しかも待ち時間もほとんどなく、とても有意義だったと思っています。 すべての医療機関が連休中に診療する必要はないと思いますが、周囲の医療機関との連携を保ちながら、少しだけ休診の期間をずらすことだけで、救急医療に貢献できると思います。 最後にあまり文句を言わないで協力してくれたスタッフに感謝いたします。 年末年始もよろしくね!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「外来小児科」一口メモ 2003年6月  
朝のミーテイングにアイスブレーキングを!

 「アイスブレーキング」をご存じですか? アイス(氷)のように冷たく堅い雰囲気を粉々に打ち砕き、打ち解けた空気を作り出す作業をいいます。 例えば、全くの初対面同士の集まりを想像してみてください。 知らないもの同士の場合、はじめは堅さ、恥ずかしさ、戸惑いなどの気持ちがあり、いきなり打ち解けたお話など出来ませんよね。 そんな緊張した集団に、打ち解けた雰囲気を作り出すことなのです。 最近では氷を暖めるという意味で「アイスウオーミング」とも呼ばれています。
 さて、私たちの日常はどうでしょうか? 小院でも8人の職員とともに診療を行っていますが、特に休み明けなどは家庭や家族のことなどを引きずったまま、勤務に就かなければならない場面もありますね。 毎朝、就業前のミーテイングは院長の小言も時にあり、職員の表情は今ひとつでした。 そこで、今春からミーテイングの初めにアイスブレーキングをするようにしました。 最初は院長がリードしましたが、今では職員全員で順番に行っています。 
 何をやるかって? 他愛のないことです。 例えば、大きな声で「1,2・・・」と数えながら両手の親指から順番に指を折り、6からは小指から指を伸ばし10まで数えます。 次に右手はあらかじめ親指を折っておき、左手は親指から、右手は人さし指から同じように10まで数え、元の状態に戻れば成功です。 でも、これがなかなかうまくできなくて、自然に笑いが溢れ、和んだ雰囲気が醸し出されます。 その他、好き好きジャンケン、指キャッチ、肩たたき、重ね手たたき、あんたがたどこさなどです。
 「笑う門には福来る」といわれています。 冷たく堅い心も緊張がほぐれると、その日一日が楽しい雰囲気で始まり、「さあ、今日も一日がんばろう!」という気持ちになるのは請け合いです。 皆さんも朝のミーテイングでアイスブレーキングをやってみませんか?

width=1
width=1
width=1
width=1
width=1
width=1
width=1
width=1
width=1
width=1

関連HP
掲載者

TEL0859-47-1234 FAX0859-44-2001 お問い合わせはこちら
〒684-0003 鳥取県境港市浜ノ町127番地 岡空小児科医院 ホームへもどる