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ロタウイルス胃腸炎の予防接種
 自費接種(当院では1回、14000円)ですが、生後24週未満の赤ちゃんは接種可能です。 ただし、生後20週までに1回目、生後24週までに2回目を接種しなければ、それ以降は出来ません。 お薦めは生後2ヵ月で1回目、生後3ヵ月で2回目を接種することです。 是非とも早めに接種して頂くよう、ご案内申し上げます。 なお、発売は2011年11月21日になりました。 特に保育所などに入所予定の場合は医学的にももちろんですが、病院受診や入院費用、そして養育者の労働損失などを考慮すれば、経済的にも有用なワクチンです。 


写真 ロタウイルス胃腸炎に対する予防接種、発売決定!

 当面は自費接種(当院では1回、14000円)ですが、生後24週未満の赤ちゃんは接種可能です。 ただし、生後20週までに1回目、生後24週までに2回目を接種しなければ、それ以降は出来ません。 お薦めは生後2ヵ月で1回目、生後3ヵ月で2回目を接種することです。 是非とも早めに接種して頂くよう、ご案内申し上げます。 なお、発売は2011年11月21日になりました。 特に保育所などに入所予定の場合は医学的にももちろんですが、病院受診や入院費用、そして養育者の労働損失などを考慮すれば、経済的にも有用なワクチンです。 

 当院での接種料金と接種時期
  接種料金 14000円×2回
  接種時期
 1回目は生後2(〜4)ヵ月
 2回目は生後3(〜5)ヵ月 
 
 グラクソ・スミスクライン株式会社は乳幼児向けロタウイルスワクチン「ロタリックス内用液」(一般名:経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン)の製造販売承認を厚生労働省より取得したと発表しました。http://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2011_07/P1000698.html
 ロタウイルス胃腸炎は、感染性胃腸炎のひとつです。 乳幼児の重症胃腸炎のうち最も頻度が高く、国内では年間約79万人が受診し、その約10%が入院しています。 5歳までにほぼ100%の小児がロタウイルス胃腸炎にかかります。 好発年齢は2歳以下です。 母親からの移行抗体が消失する生後6カ月以降は、重症化しやすいです。 乳児期後半以降もロタウイルス感染は繰り返し起こりますが、重症化する確率は減って行きます。 例年、インフルエンザの流行が一段落し、寒さが緩む2-4月頃に流行します。 今年は2月から流行が始まり、5月になっても流行が終息しませんでした。
 主な感染経路は糞口感染で、潜伏期間は2-3日と言われています。 下痢出現の2-3日前から糞便中にウイルスが排泄され、その後1-2週間持続します。 間接接触感染も知られており、おもちゃや衣類などを介して感染が広がります。 感染力は極めて強く、保育所などで毎年のように集団発生が起きていますし、病院や診療所での院内感染も少なからず生じています。 肺炎が治り、退院した子どもが帰宅直後にロタウイルス胃腸炎を発症し、また同じ病院に、同じ日に入院となったという笑い話みたいな本当の話もたくさんあります。
 主な症状は発熱、嘔吐、下痢、腹痛です。 病初期に発熱と嘔吐が出現します。 発熱は40-60%にみられ、通常は2日間で解熱します。 嘔吐は60-90%の症例に出現し、通常2日目以後は減少し、その後下痢が始まります。 下痢の性状は水様便が多く、約半数の患児に豆腐をつぶした、あるいは紙粘土のような白色便、クリーム色便が認められます。 下痢は1日数回から十数回に及び、7-14日間続きます。 便が白いうちは治っていません。 便の色がつき始めて2-3日してやっと治ります。 一旦便が元の色に戻っても、また白い便になり、ぶり返すことがあります。 1日10-20回以上の激しい嘔吐や下痢により高度の脱水や電解質異常をきたします。 一晩で高度の脱水に陥り、命にかかわることがあります。 合併症として肝機能異常、痙攣はよく経験しますし、まれに脳炎・脳症があります。 以前、勤務していた県立病院で、入院し点滴中であったのに関わらず、激烈な下痢のためにもう少しで幼い命をなくしたかもしれない症例を経験しています。
 ロタウイルス感染症を直接治療する薬剤はありません。 効果のほどは疑問ですが、整腸剤を服用して、自然治癒を待たなければなりません。 脱水にならないように十分な補液が必要です。 経口摂取ができない場合には点滴が必要となります。 ただし、点滴は非生理的な治療方法であり、点滴液の選択、点滴速度の設定、血中電解質の管理など十分に注意する必要があり、安易にする医療行為ではありません。 点滴路の確保が難しい乳児やおしっこが出ない、目が落ち窪んでいる、ぐったりしている、皮膚に張りがないなどの重症例では入院が必要になります。 他のウイルス性胃腸炎では、浣腸して排便を促し、自宅で養生すれば自然に回復することが多いですが、ロタウイルス胃腸炎では自宅養生では回復せずに入院になってしまうことがよくあります。
 ロタウイルスは感染力が強く、衛生環境を整えても完全に予防することは困難です。 また重症化しやすいことから、世界保健機構(WHO)は先進国・途上国関係なく全ての地域においてロタウイルスワクチンの定期接種化を推奨しています。
 「ロタリックス」は1回1.5mLの液体ワクチンを4週間以上の間隔をあけて計2回経口接種します。 本剤の接種は生後6週から可能で、遅くとも24週までに計2回の接種を完了させる必要があります。
 「ロタリックス」は2004年に発売されて以来、世界120カ国以上で5000万人以上の乳児に接種されています。 ロタウイルスには数百種類の株がありますが、「ロタリックス」は複数のロタウイルス株に対して有効であることが確認されています。 日本国内における臨床試験では重症ロタウイルス胃腸炎の発症を92%予防しました。
 「ロタリックス」が2011年11月21日から発売され、接種が可能です。 ご希望の方は早目に接種を受けてください。 当面は任意接種(=自費、当院では1回、14000円)ですが、ロタウイルス胃腸炎の重症度を考えると接種を受けることを強くお勧めします。 不明な点があれば、何でも院長(またはスタッフ)にお尋ねください。

                   2011年11月 岡空小児科医院 岡空輝夫
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