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『○歳の男子です。 水いぼがあるとプールに入れないと保育所から言われました。 親としては納得いきません。 どうしてですか? 』という質問を時々受けます。
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水いぼがあるとプールに入れないって、ほんとう? 『○歳の男子です。 水いぼがあるとプールに入れないと保育所から言われました。 親としては納得いきません。 どうしてですか? 』という質問を時々受けます。
医療の主役はだれでしょう? 最初に確認しておきたいことがあります。 教育や保育でも同じですが、医療の主役は患者本人ですよね・・・でも、現実には本人不在の場面も多々見られます。 軽い湿疹のある乳児が保育所入所にあたりアレルギー検査(RAST)を保育所から要請される、ついさっき発熱した子どもに対して学校からインフルエンザ迅速検査を依頼されるなどです。 もちろん、これらの要請や要望を全く無意味と言うつもりはありませんが、医療の主役は患者本人で、すべての医療行為は患者さん本人にとって意義のあるものかを考えるべきであり、保育所や学校のためにするものではないことをまずは確認しておきます。
水いぼの原因と症状の特徴、感染力などについて さて、本題に入ります。 水いぼは正式には伝染性軟属腫と言いますが、ウイルスによる良性のイボです。 個々の皮疹は真ん中が少し窪んだ数ミリ程度の皮膚の盛り上がりからなり、当初は少しずつ増えてきます。 かゆくなることは時々ありますが、ひどく痛くなるようなことはなく、全身に与える影響もありません。 水いぼは主に肌と肌の接触によりうつりますが、その他タオルなどの物を介して感染するとされます。 その伝染力は強くはありません。 園児同士が裸でじゃれあったり、ウイルスの付着しているタオルなどを共用しなければ感染は防げます。
治療と治癒の経過 水いぼがあっても本人には特別支障はありませんし、放っておいても6〜24ヶ月ぐらいで自然に治ることがほとんどです。 したがって、本人の利益になることを優先しつつ、保護者とよく相談しながら治療方法を選択することとなります。 無治療(経過観察のみ)、ピンセットでつまむ(確実だけど痛い)、硝酸銀で焼く(痛みはないが、じっとしていないと出来ない)、漢方治療(ヨクイニン、即効性はないが飲みやすい薬)などになります。 私のお勧めは無治療かヨクイニンの内服治療です。
水中で感染するわけではないのに、なぜ水いぼの伝染性が強調されるのか? プールでうつるという言葉の意味に、幼稚園などの関係者の間で多少誤解があるためです。 ご存じのように一般のプールの水は塩素消毒されています。 プールの水の中では皮膚の表面を常に塩素殺菌をしているようなものですし、通常の塩素濃度でウイルスはすぐに死んでしまいます。 保育所などのプールの水で感染はしません。 プールでうつされたと言われたくないためか、保育所などで水いぼの子どもさんがプールに入れてもらえないという話を耳にします。 でも、ちょっと想像してみて下さい! さっきまでみんなと一緒に園庭で手をつないで遊んでいたのに、プールの時間だけ独り見学に回されたとしたら、その理由を理解できない子どもにとっては、大変辛いものがあり、いじめや差別と思ってしまうはずです。 したがって、医学的に根拠のないプール禁止は無意味であり、むしろ人権侵害・差別とも考えられるため、断固反対です。 保護者の方だけではなく、プールの可否を判断される学校・幼稚園・保育園・スイミングスクールの責任者の方々にも、このことをよく理解していただきたいと思います。
最後に 水いぼに限らず子どもの病気の多くは自然に治って行きますが、中には重大な状態となり、医療の介在を余儀なくされ、不幸な結果になる病気もあります。 第一、子どもには出来るだけ病気に罹らせたくないと願うのは親心と言うもの。 特にワクチンができている病気(麻しん、風しん、百日咳、Hib感染症など)は罹らない(もしくは軽症化)で済ませることが出来ます。 積極的に受けさせたいものです |
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