岡空小児科医院
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岡空小児科医院からのおしらせ・最新の情報・ニュースなど

これって本当ですか?
 色んな情報が氾濫している現代社会、真実はどこにあるのでしょうか? てるお先生が本音で語ります。 すべてのものに白黒をつけられるはずはありませんので、必ずしも明確な回答ではないかもしれません。 この世に生まれて59年、小児科医になって35年、父親になって28年の経験と知識をもとに、不偏不党の精神で真っ正直にお答えいたします。 最終的には、皆さんご自身のご判断になりますが、その際の判断材料のひとつになれば幸いです。


 色んな情報が氾濫している現代社会、真実はどこにあるのでしょうか? てるお先生が本音で語ります。 すべてのものに白黒をつけられるはずはありませんので、必ずしも明確な回答ではないかもしれません。 この世に生まれて59年、小児科医になって35年、父親になって28年の経験と知識をもとに、不偏不党の精神で真っ正直にお答えいたします。 最終的には、皆さんご自身のご判断になりますが、その際の判断材料のひとつになれば幸いです。

(1)風邪薬って、本当に飲まないといけないの?

 ご存知のように風邪の原因となる細菌やウイルスは200種類以上あり、そのほとんどはウイルスです。 インフルエンザにはタミフルなどの抗インフルエンザ薬が有効ですが、咳や鼻水に伴い発熱を生じる風邪に対して、有効な薬は今のところありません。 風邪薬、特に市販薬の成分は解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤などを含み、熱を下げ、鼻水を抑え、咳を鎮める働きをします。 病院やクリニックで処方される風邪薬は患者さんの状況に応じて処方されますので、不必要な成分は含まれないはずですが、基本的には市販薬と大差はありません。 
 風邪薬の服用は患者さんの症状を緩和する「対症療法」に過ぎません。 風邪薬の正体は風邪自体を早く治す作用はなく、症状を抑えているだけです。 服用している間に、自分の免疫の働きで風邪が自然に治ることが多いので、風邪薬が効いて風邪が早く治ったと勘違いしているだけです。 大きな声では言えませんが、「効いてよかったね! 早めのパ○ロ○!」は嘘なのですね(笑い)! でも、竹下景子さんは好きです・・・
 じゃあどうしたら良いのか? 風邪をひいたら、なぜ熱が出たり、咳や鼻水が出るのでしょうか? あの山中鹿之介が「願はくは、我に七難八苦を与え給へ」と言ったように、自分を苦しめるためでしょうか? そんはずはありません。 風邪をひいた時に自分自身の免疫機構が働いて、体温を上げて(発熱)、咳や鼻水などの症状を出して、風邪を早く治そうとするのです。 したがって、風邪をひいた時に風邪薬を服用することは、せっかくの免疫反応を抑え、病気自体を長引かせる要因となるかもしれません。 これもまた、大きい声では言えませんが、千角列島を中◎が攻めようとした場合、日本国民はどうしますか? 永久戦争放棄の憲法を遵守し、戦いを放棄しますか? 千角列島奪還すべく交戦中の証拠が発熱、咳、鼻水だとご理解ください。 なお、熱が高い方(39〜40度以上)がウイルスや細菌の増殖が抑えられるため、戦いは有利に展開されます。 したがって、風邪による発熱は解熱剤を使わない方が結果的には通常早く下がってきます。
 結論です。 風邪の際に風邪薬を飲むと症状は緩和され、楽になります。 しかしながら風邪自体が早く治る訳ではなく、逆に長引かせる要因になる可能性があります。 このことを承知の上、風邪薬の服薬の可否をご自身でお決めください。


(2)鼻水が続くと、本当に中耳炎になるの?

 中耳炎で最初に出会うものとして、耳が痛くなり、熱が出る急性中耳炎です。 この急性中耳炎って、夜間に急に起こることが多いのですよね! この他にも、痛みや熱はないけど、鼓膜が腫れている滲出性(しんしゅつせい)中耳炎っていうのもあります。
今回は急性中耳炎のお話をします。 まずは、どうやって起こると思いますか? 風呂などで耳に水が入ってきて菌が中に入るとか、菌が耳の外(鼓膜の外側)から侵入して来ると思われている人が多いと思いますが、実は間違いです。
 鼻の奥の上咽頭という場所と鼓膜の内側の中耳(ちゅうじ)という場所は、耳管という管でつながっています。 風邪を引いた時に鼻をかんで鼻水を排泄出来ると良いのですが、出来ない場合には鼻水が貯留して、鼻水とともに鼻の奥にいる菌がその管を通って耳のほうに行き、中耳炎を起こすようです。 子どもが大人より中耳炎になりやすいのは、この管が大人より短く太く、角度が水平なので、鼻の奥の菌が耳に行きやすいからです。 特に2歳以下の乳幼児は上手に鼻水を擤めないことも多く、中耳炎になりやすいと考えられています。 鼻の奥には必ず菌がいます。 常にいる菌なので“常在菌”といわれます。 ただし、常在菌は“良い菌”と急性中耳炎の原因となるような“悪い菌”が、共存しています。 要するに世の中と同じで、常に悪い菌もいるということです。 日頃は“良い菌”が数多くいて、“悪い菌”は悪さができず、おとなしくしています。 ただし、風邪を引いた時などに、溜まった鼻水の中で“悪い菌”が増殖することがあり、その増殖した菌が管を通って、耳の方に行き中耳炎になるのですね。
 鼻水がでている子がみんな中耳炎というわけではありません。 私が小さかった頃(50年以上も前?)には、子どもはみんな鼻水を出していました。 鼻たれ小僧っていう美しい日本語もあります! 鼻の奥の鼻水の中には中耳炎の原因になるようなウイルスや菌がたくさんいるので、中耳炎になっている子は鼻がズルズルしていることが多いだけです。 特に2歳以下の小さい子は耳の痛みなどの急性中耳炎の症状を、うまく訴えられない(泣く、不機嫌だけ)ことも多いのです。 ここで注意なのが、鼻水止めの薬(抗ヒスタミン薬)は急性中耳炎に有効ではないので、鼻水がでたら、すぐ鼻水止め薬/抗菌薬ということではないのです。 鼻水が長引く場合に病気の部位が鼻だけだと思わず、耳にも気をつけた方が良いということです。
 結論です。 鼻水が続くだけで中耳炎になる訳ではありません。 ただし2歳以下の小さい子で、鼻水がズルズル長引くときには、微熱、不機嫌(耳の痛みのせいかも?)、耳周辺をよく触る(湿疹が原因で、関係ないこともあります)、耳だれ(これは間違いない!)などの急性中耳炎を疑わせる症状に注意したほうがよいという結論です。


(3)感染症の熱は下げた方が良いの? 下げない方が良いの?

 「熱が高いと菌が脳に回り、大変なことになる。 だから、熱が出たら座薬(解熱剤)を使った方が良い!」と、昔は言われていました。 確かに風邪をひいて、微熱と頭痛がある時に解熱剤を飲むと、熱が下がり頭痛も良くなりますよね。 ごくごく軽い風邪なら、このまま治っちゃうこともあるのですが、インフルエンザなどの全身感染症の場合、また熱が出ることの方が多いのです。
 別稿でも述べていますが、発熱も免疫反応の一種であり、風邪をひいた時に体温を上げる(=発熱)ことで、風邪の原因となった細菌やウイルスとの戦いを有利に進めようとしているのです。 このことは20世紀に行なわれた動物実験で既に証明されています。 すなわち実験動物に細菌を注射して、感染症を起こさせます。 それらの動物に解熱剤を投与するとどうなったと思いますか? 薬は何もやらないで、ただ保温に努めた動物たちは生き延びたのに対し、解熱剤を投与して平熱にした動物たちは死んでしまいました。 その理由はどうしてでしょうか? 病原体であるウイルスや細菌は一部(低温を好む細菌など)を除いてヒトの平熱である37度前後が一番増殖しやすく、40度前後の高温だとあまり増えません。 また、数年前まで日本で話題になっていたインフルエンザ脳症は解熱剤との関連性が証明されています。 すなわち、インフルエンザ脳症になった子どもたちは、ある種の解熱剤(解熱効果の高い種類)が使われていることがわかったのです。 そのため、最近はインフルエンザに対しては出来るだけ解熱剤は使わない、使うとしても解熱効果の低いもの(アセトアミノフェンかイブプロフェン)を使うように制限されています。
 動物であるヒトは感染症にかかった時、病原体との戦いの中で体温を上昇させ(発熱)ることによって、戦いを有利に進めようとします。 したがって、熱が出たらすぐに解熱剤を投与するという行為は、まさしく敵に塩を送るという行ないに他なりません。 ただし、解熱剤を絶対に使ってはいけないということではありません。 頭痛や全身の筋肉痛などの苦痛が激しく、食事も全く摂れないし、眠られないなどの場合は解熱剤を使うことで、食欲が出てきてぐっすりと睡眠が確保出来ることもあります。 栄養や睡眠が確保されることで、病気を治す原動力になることもあると思います。 
 結論です。 風邪による発熱には原則として解熱剤は使わない! ただし、感染症における発熱の意義を知り、解熱剤を使う功罪を十分に吟味した上での解熱剤の使用はかまわないと思います。 実際の使用はご自身でご判断ください。


(4)先日、いつものクリニックがお休みだったので、別の病院を受診しました。 診断は風邪だったのですが、咳止めにテープを使うように言われました! かかりつけの先生には、テープは喘息の薬だから、風邪の咳には使わないようにって、言われていましたので、ちょっと心配です。 これって、どっちが本当ですか?

 テープは正式には貼付剤(ちょうふざい)と呼びます。 今回処方されたのは気管支拡張剤のツロブテロールテープのことだと思いますので、それについてお話しします。 このツロブテロール貼付剤は日本で開発された皮膚から有効成分が吸収されるタイプの経皮吸収薬で、その技術は世界に誇れるものだそうです。 実際に売られて、使われている量もとても多いのですが、残念なことに多くは間違った使われ方をしています。
 ツロブテロール貼付剤は咳き込んだ小児に貼るだけで済みますので、薬を飲ませにくい子どもにはとても重宝します。 ただ、貼ってから薬効成分が皮膚から徐々に吸収されるので、実際に効果が現れるのは早くて5〜6時間であり、一番効果が高い(血中濃度のピーク)時期は12時間前後と言われています。 貼付剤の目的は毎日のように明け方に喘息発作が起こるような喘息の子どもさんに、寝る前に貼っておくと、明け方の発作が起こるのを防ぐために使用します。
 しかしながら、実際には風邪で受診した際に咳止めとして処方されているケースを多く見かけます。 この薬の使い方をよく理解していないとしか思えません。 これは明らかに医師の誤用(愚用)です。 風邪で受診した際にテープが処方された際には、その理由を必ず訊いて下さい。 納得出来る回答がなければ、テープは使用されない方が良いと思います。 内緒ですが、その医者さんには、今後行かない方が良いかもしれませんよ・・・(内緒にね!)。
 結論です。 風邪にツロブテロールテープの使用は明らかに誤用(愚用)です。 万が一処方されても、使わないようにね!


(5)予防接種って、本当に受けないといけないの?

 予防接種って聞くと、副作用が心配だし、本当に受けないといけないのか? 考えちゃいますよね。 まずは医学の基本に戻ってみませんか? 風邪や気管支炎、肺炎はもちろんのこと、水ぼうそう、風疹、麻疹、おたふく風邪などの病気に罹ったとき、大抵は治っていきますが、どうして治っていくのでしょう?
 それは身体の仕組みに免疫機構という細菌やウイルスなどの外敵が侵入した時に、自然に身体を守るメカニズムがあるんです。 日本という国に例えてみましょう。 北○がミサイルを我が国に向けて打ったり、中◎が千角列島を占領しようとした場合には、我々一般市民は特に何もしなくても、海上保安庁や自衛隊が即座に対応し、多分守ってくれるだろうと信頼して、日々を暮らしていますよね。 それは前述の有事を想定して、日々訓練しているからです。 事前に想定して、訓練しておけば、100%完璧とはいかないとしても、それなりの対応が出来るはずです。 もし、全く対応していなければ、北○のミサイルがすぐそばに着弾したり、千角列島をあっという間に占領されるかもしれません。
 賢明な皆様はもうお分かりですね。 残念ながら世の中には、罹ってしまうと重症になったり、とても辛かったり、中には亡くなったりし、社会に多大な影響を与える病気があります。 そのような重要な感染症に対して事前に対応策を立てておくのが、予防接種なのです。 
 結論です。 予防接種は自分(子どもさん)のために受けるものです。 具体的には麻疹、風疹、結核、百日咳、破傷風、ジフテリア、水痘、おたふく風邪、日本脳炎、ロタウイルス胃腸炎、B型肝炎、子宮頸癌などに対するワクチンがありますので、是非とも、進んで受けましょう。 


(6)水いぼって、とった方が良いの?

 水いぼは正式には伝染性軟属腫と呼ばれる一見大変そうな病気ですが、実はウイルスによる良性のいぼです。 水いぼは、ほって(放置して)おいても、早ければ半年から、長くとも2年位で自然に治ることがほとんどです。 かゆくなることは時々ありますが、ひどく痛くなるようなことはなく、全身に与える影響は全くありません。 有名人が亡くなるとニュースで報道され、亡くなる原因となった病名も公表されますが、水いぼで亡くなったと聞いたことはありませんよね(笑い!)。
 今申し上げたように、自然に治る病気であり、本人にも特に苦痛を生じされる訳ではありませんので、必ずしもとる(ピンセットで摘んでウイルスを含む内容物を取り出し、消毒する)必要はありません。 本人や家族とよく話し合った上で、無治療、ピンセットで摘みとる、硝酸銀で焼く、漢方治療(ヨクイニン、即効性はないが、飲みやすい薬)などから選択して頂くこととなります。


(7)デベソって、圧迫した方が良いの?

 赤ちゃんのデベソは正式には臍ヘルニアと呼びます。 重症な病気である“臍帯ヘルニア”とよく似ていますが、全く違う病気ですので、ご安心ください。
 臍ヘルニアは生後2週間ころから1ヵ月ころの赤ちゃんのお臍の突出として診断されます。 臍ヘルニアは1歳までに約90%が自然に治るので、1歳を過ぎる頃までは特に治療は必要ないとされてきました。
 しかしながら、中には臍ヘルニアが治らない例や見栄えが悪い治り方を示す例があり、デベソの初期の段階から、適切に圧迫すると早く治ることがわかってきました。 ただし、圧迫を開始する時期によって、治癒成績が変わってきます。 ある施設のデータでは、圧迫を開始した時期が満3ヵ月未満だと96%治りますが、3ヵ月を超えると67%に下がり、さらに4ヵ月以降に治療を開始した場合は0%と報告しています。 すなわち、圧迫治療をするなら出来る限り2ヵ月前後で開始すると、より早くの治癒が望めます。 逆に4ヵ月以降は圧迫の効果は望み薄であり、圧迫することで絆創膏かぶれを生じることもありますので、あとは自然経過に任せるの良いだろうと考えられます。
 結論です。 赤ちゃんのデベソは生後2ヵ月前後なら圧迫治療を奨める。 逆に4ヵ月を過ぎている場合は、いたずらに圧迫を続けないで、自然治癒に期待をかけるのが良いと思います。


(8)抗菌薬が効く病気って、どんな時?

 小児科医になって35年目を迎えました。 医者になりたての1980年頃は子どもの発熱患者さんが来ると、診断は単なるウイルス性の風邪でも、ほぼ100%抗菌薬(当時は抗生物質と呼んでいました)が処方されていました。 当時から抗菌薬はウイルスには効果がないことは解っていましたが、診察だけでは発熱の原因がウイルス性か細菌性かは判断出来ないため、またはウイルス感染症に引き続いて起こるとされる細菌の二次感染を予防するため、処方されていました。
 それから30年以上経過した現代、普段健康な小児のウイルス性感染症に対して、抗菌薬を処方する医師(小児科医)はほとんど化石に近い人と思われます。 少なくとも、岡空小児科医院で抗菌薬を最初から投与する疾患は、以下です。 伝染性膿痂疹(主に使用する抗菌薬:ラリキシン)、マイコプラズマ感染症(クラリス、クラリシッド、ジスロマック)、急性中耳炎(中等症以上でワイドシリン、メイアクト)、尿路感染症(フロモックス、メイアクト)、溶連菌感染症(ワイドシリン)、百日咳(クラリス、クラリシッド)、細菌性の感染性胃腸炎(ホスミシン、バクシダール)などです。 
 逆に抗菌薬を処方しない病気は、水痘、おたふく風邪、インフルエンザ、RSV感染症、ロタウイルスやノロウイルスなどが原因のウイルス性胃腸炎、手足口病、ヘルパンギーナ、ヘルペス性歯肉口内炎、伝染性紅斑(りんご病)、咽頭結膜熱(アデノウイルスが原因)などです。 また、風邪や気管支炎も抗菌薬は使いません。


(9)軽い風邪で受診したら、山ほど薬が出たんですが? 本当に飲まないといけませんか?

 古いですが・・・くしゃみ3回、○ル3錠!(これを知っておられる方は、相当人生経験を積まれています!) 良かったね、早めのパ○ロン!(最近は代わられたかもしれませんが、初代は竹下景子さん、大ファンです。 笑い!) 熱には黄色の便座、咳には青の便座、など風邪(ウイルス性上気道炎)+風邪薬=早く風邪が治る、という刷り込みがCMによってなされています。
 実は(1)などで述べたように、風邪薬は風邪の諸症状を緩和しているだけで、風邪自体を早く治せる証拠は全くありません。 逆に風邪による諸症状自体こそが風邪自体を早く治そうとしている防衛反応であるため、風邪薬を服薬することは一見良くなったように思えるだけであって、実際は風邪自体を長引かせている可能性があります。 そういった考えのもとで、当院では風邪の子どもさん(もちろん、大人も・・・)に対して、出来るだけ必要最低限の薬しか処方しません。 中には鼻汁吸引だけで、薬の処方をしない場合もあります。
 確かに他院で処方された薬をお薬手帳で確認させて頂くこともあり、軽い風邪症状の子どもさんに、抗菌薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、去痰剤、ツロブテロールテープ(具体的な薬剤名で言えば、オゼックス、キプレス、ムコダインとムコサール、ホクナリンテープ)という文字通り<山ほど薬>が処方されていることも、さほど珍しいことではありません。 もちろん、健康保険において、この場合は急性上気道炎(風邪)という病名では、通りません(お金が出ない)ので、気管支喘息、肺炎という診断がなされているはずです。
 処方された薬を全部飲まないといけないのか? 処方された医療機関に尋ねるのが筋ですが、内緒の話しとしてさせて頂ければ、ウイルス性の風邪に対して、飲んでも良いだろうと思われる薬は、前述の去痰剤(ムコダインとムコサール)だけだと思います。 内緒の話しですが、去痰剤だけ飲んで、他の薬は止めていいと思います。   

(10)熱が出て受診したら、何も処方されず、様子だけ見るように言われたけど、これでお金とるのは詐欺なんじゃないの?

 ひょっとして、これは当院のことでしょうか?(笑い!!) 日本では古くから物との交換にはその対価としてお金を払いますが、形に見えないサービスにはお金を払わない慣習が残っているように感じます。 しかしながら、欧米では形に見えないサービスにも相応の対価を負担します。
 日本でも、最近は増えて来ていると思います。 例えば、遺産相続のトラブルで弁護士さんに相談に行く、心の悩みでカウンセリングルームに行く、資産運用に関してフィナンシャルプランナーに相談するなども、結果はどうあれ、一定の料金は発生します。
 熱が出て受診した場合、患者さんの希望は、1)早く楽にして欲しい、2)病気自体を早く治して欲しいの二つがあげられます。 病気自体に有効な薬剤がある場合は簡単です。 有効な手段をとることで、病気を早く治し、結果として早く楽にしてあげることは可能です。 一方、有効な手段がない場合は対症療法(熱や咳、鼻水などの諸症状を和らげる、緩和する治療)で、早く楽にしてあげることは可能ですが、逆に防衛反応である症状を抑えることで、病気自体を長引かせ、結果として病気の治癒を遅らせると考えられます。 マイコプラズマ感染症、溶連菌感染症、百日咳、インフルエンザや水痘など一部を除けば、ほとんどの風邪には疾患自体を早く治す有効な手段はありません。 
 したがって、特に有効な手段がない場合には、勇気を持って何もしない(何も処方せず、様子を見る)という作戦こそ、有益な場合がありますので、けっして詐欺まがいではありません(笑い!)。 ご了承いただければ、幸いです。


(11)嘔吐下痢症で病院に行ったら、点滴されて、吐き気止めの座薬を入れ、脱水症にならないようにイオン飲料を十分に摂るように言われた。 次に同じような病気で近所の医院に行ったら、浣腸だけして、あとは何もしなくて良いって、言われたけど、本当はどうなの?

 嘔吐下痢症は正式には感染性胃腸炎と呼ばれ、文字通り“うつる”胃腸炎です。 サルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌などの細菌が原因となるものと、ノロウイルスやロタウイルスなどが有名なウイルス性胃腸炎があります。
 細菌が原因の場合には感受性のある(有効な)抗菌薬を内服することで一定の効果(絶対的効果ではありません)を得られると思われますが、ウイルス性胃腸炎の原因ウイルスに直接的に効果のある(ウイルスをやっつける)薬剤はありません。 ある種の消毒薬は効果がありますが、人の身体にも有害なため、服用出来ません。
 ご質問の疾患をウイルス性の胃腸炎としてお話しいたします。 胃腸炎の主たる症状は発熱、吐気、嘔吐、腹痛、下痢などです。 こういった症状はとても辛いので、病院に行くと吐き気を抑える座薬を使い、痛み止めの成分を含む点滴をすると、吐き気や腹痛もやがて治まり、楽になるますね。 まさに神様、仏様、お医者様という気持ちになろうかと思います。 ただし、本当のことを言いますと、このような症状は病気を早く治すために、腹痛で病気の存在を知らせ、発熱でウイルスと戦い、胃の中の食べ物は吐き出し、腸内のものは下痢をして体外に出そうとします。 中◎製の農薬入り餃子を食べた時も、身体は同じ反応をします。 この際に病院で同じ処置をすれば、症状は一旦和らぎますが、肝心の農薬成分を体外に排泄出来ないために、返って重症化することとなります。
 結論です。 吐き気止めの座薬や鎮痛剤を含んだ点滴は症状を緩和しますが、病気を早く治すこととは直接的には結びつかず、逆に長引かせる要因となるかもしれません。 したがって、病気な治する治療方法の選択は得られる利点と失う短所を十分に勘案して行なうことが大切です。 どちらが正しくて、どちらが間違いと言うことではないと思います。 一言で言えば、治療の選択はケースバイケースと言うことになります。 


(12)紫外線は避けた方が良いって言われたけど、日焼け止めは塗った方が良いの?

 専門科じゃないので、引用させて頂きます。
東京小児科医会報 vol.26 no.2 45-52,2007
上出良一先生 東京慈恵会医科大学附属第三病院皮膚科

紫外線防御について
 天気予報で提供されるUVindexを参考に、日常生活、学校生活、レジャーで、できるだけ10時から14時の間の日差しの強い時間帯を避けて屋外活動する。 帽子、衣服などで遮光するなどの注意は当然必要であるが、最後の砦としてサンスクリーン塗布がある。 サンスクリーンの紫外線遮断性能は、それを2mgまたは2μL/cm2の量を塗布して測定されているが、実際、消費者は0.5mg/cm2程度しか塗布していない。 このように薄く塗ってしまえばラベルに表示されているSPFの20-50%程度の効果しか得られない。 塗り残しや塗りムラを避けて十分塗布するために、重ね塗りが推奨されている。
 一般的にサンスクリーンは顔や片腕でそれぞれ真珠の粒2個分くらい、または乳液タイプでは500円硬貨大を塗布することが推奨される。 塗布部位は、顔面では耳介を忘れずに、項部、手背にもきちんと塗布する。 泳いだり、汗で剥がれ落ちるので、たとえ水に濡れても遮断能力に変化はないが、タオルで拭うなど擦れて落ちた分を補うために3〜4時間毎に重ね塗りしたほうが良い。
 よくある質問としては小児には小児用として特別なサンスクリーンを使う必要があるかということであるが、一般用を使って特に問題はない。 実際、小児用として日本で売られているものは、成人用と比べて吸収剤を使わず散乱剤のみで作られ、配合成分を減らし、多少保湿作用を加えた程度である。 一般的に吸収剤は皮間傷害を生じやすいと信じられているが、実際は極めて まれであり、情緒的な思いこみや、広告によるイメージ刷り込みが大きく、母親は肌に優しい、安全であるというキーワードで小児用と表示されたものを求める傾向がある。 しかし、アメリカ、オーストラリアなどでは小児用でも吸収剤を使用した製品は多数販売されており、塗布範囲 や量が明瞭にわかる青や緑に着色されたものも多い。 要は紫外線をきちんと遮断するというこ とが第一であるというスタンスである。 

小児の紫外線防御について
 A.小児期からの紫外線防御の必要性
 生涯を通じての紫外線暴露は有棘細胞癌を誘発し、間歇的大量暴露は基底細胞癌やメラノーマの発症につながる。 露出部に皮膚癌を予防するには小児期からの紫外線防御が必要であることは明らかである。 計算上、SPF7.5のサンスクリーンを18歳まで常用すると、生涯の非メラノーマ皮膚癌(有棘細胞癌、基底細胞癌)の発生を78%減少させる。
 B.紫外線防御の実際
 生後6Mまでは衣類、帽子、傘などによる防御を行い、サンスクリーンはオプションと考えられる。 幼児期も同様であるが、活動範囲の拡大とともにサンスクリーンが必要となり、保護者が塗布する。 難しいのは学童期で、自分でサンスリーンを塗るほど成長しておらず、かつ、学校での紫外線暴露機会が多く、今後学校で紫外線対策を充実すべきである。 特に、学校、公営プールでのサンスクリーン使用禁止は問題である。 実際、サンスクリーンを塗布した児童にプールに入ってもらい、前後のプールの水の濁度を調べたが、何ら変化は起こっていない。
(上出良一先生 東京慈恵会医科大学附属第三病院皮膚科)


(13)紫外線の害が怖いので、学校のプールはとっても危険だと思うのですが、どうして室内プールじゃないのですか?

 これは前項で述べられていますように、小中学校での屋外プールは多量の紫外線暴露を生じます。 早急に屋内プールにするか、屋外プールのままならサンスクリーンの使用を推奨すべきだと考えます。
 境港市の場合は学校でのプール授業において、日焼け止めの使用は特に禁止してはいませんが、特に使用を推奨している訳ではありません。 したがって、今後は日焼け止めの使用を推奨すべきですので、遠慮なさらないで使いましょう!


(14)タバコの煙にもPM2.5が入ってるって聞いたけど、それは中国製のたばこですか?

 微小粒子状物質(PM2.5)とは大気中に浮遊している2.5μm(1μmは1mmの千分の1)以下の小さな粒子のことで、従来から環境基準を定めて対策を進めてきた浮遊粒子状物質(SPM:10μm以下の粒子)よりも小さな粒子です。 PM2.5は非常に小さいため(髪の毛の太さの1/30程度)、肺の奥深くまで入りやすく、呼吸系への影響に加え、循環器系への影響が心配されています。
 粒子状物質には、物の燃焼などによって直接排出されるものと、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)等のガス状大気汚染物質が、主として環境大気中での化学反応により粒子化したものとがあります。 発生源としては、ボイラー、焼却炉などのばい煙を発生する施設、コークス炉、鉱物の堆積場等の粉じんを発生する施設、自動車、船舶、航空機等、人為起源のもの、さらには、土壌、海洋、火山等の自然起源のものもあります。 これまで取り組んできた大気汚染防止法に基づく工場・事業場等のばい煙発生施設の規制や自動車排出ガス規制などにより、SPMとPM2.5の年間の平均的な濃度は減少傾向にあります。
 最近、中国で発生した微小粒子状物質(PM2.5)が大陸から飛来する越境汚染への関心が高まっています。 ところが、身近なところに濃度が極めて高い場所があります。 なんとそれは喫煙可能な室内です。 例えば、禁煙していない居酒屋だと、北京市の最悪時の濃度と変わりません。 専門家は屋内の全面禁煙を訴えています。 日本で調査したところ、禁煙でない飲食店内のPM2.5は、数百㎍/㎥に達しています。 まず日本国内の受動喫煙をなくすことが、私たちの健康を守るために最優先で実行しなければならないいことだと考えます。 PM2.5の主成分は、元素状炭素(いわゆる黒いスス)、有機炭素(芳香族炭化水素などの発ガン物質等)、硫酸イオン、硝酸イオン、アンモニアなどの化学物質と重金属です。 PM2.5はとても小さいので、たやすく肺の一番奥の肺胞まで入り込み、そこで様々な病気をおこします(PM2.5が多いと、心臓病や喘息、肺ガンなどが増え、死亡率が高まります。アメリカなどでの調査によると、PM2.5が10㎍/㎥増えると、心臓や肺の病気の死亡率が9%、肺ガン死亡率が14%、全死亡率が6%増えます。 大気汚染はすべての住民に影響しますから、PM2.5 がわずか10㎍/㎥増えるだけで、その地域の住民の死亡率が6%増えるという深刻な事態が起きます。


(15)ロタウイルスワクチンはロタリックス(1価)とロタテック(5価)とどっちが良いの?

 ロタリックスとロタテックとどちらがお勧めか

基本的には、どちらもすぐれたワクチンなので、どちらを使用しても問題ありません。



 ロタリックスの方が、接種回数が少ないこと(2回>3回)、接種量が少ない(1.5ml>2ml)ことは利点と考えられます。
 一方、ロタテックは、ロタリックスで抗体の上りがあまり良くないG2P[4]にも十分効果が期待できる点は優れていると思います。
 なお、当院での接種料金はロタリックス(14000円×2で、合計28000円)、ロタテック(9000円×3、合計27000円)で、ほとんど差はありません。 ご希望の方を予約時に、ご指定ください。
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