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連続小説 商工BOYS 第8回 〜青年部入部編〜 著:栃木県青連 高野ゆうじ
新春特大号
(心の袋とじ付)あけましておめでとうございます。
<<あらすじ・登場人物
<<前回の物語
私が入部をした翌日から、商工会館2階の和室は
仕事を終えた部員たちが足しげく通う部室のようになった。
部室といえばあの懐かしい学生の汗臭さを思い浮かべるが、そこは完全無欠な中年の加齢臭。
(想像してください!)
そこに、近所の精肉店から買ってきた焼き鳥とカレーコロッケの匂いがするわ
(加齢だからカレーか?せめてクリームコロッケならさ〜)
冬でも無いのにお湯割りにするから芋焼酎の匂いがするわ
(誰の入れ知恵か、焼酎お湯割りは冬にしましょうよ!)
定番カワキモノのオンパレード、イカとカキピーとポテチの匂いがするわ
(大人買いのよっちゃんイカワンケースはやみつきになる!)
極めつけは、呑み始めるや否や平気で食べる立石さんのカレーヌードルとソース焼そばの匂い。
(二つを交互に食べるかな?ラーメンは汁扱い?しかも、どんだけカレー味?)
キラキラした若さ溢れる甘酸っぱい青春では無く
ギトギトした若さとは無縁の甘じょっぱい赤ちょうちん的世界。
(それが現実ですわ)(汗)
そんな赤ちょうちん一杯吞み屋に亜紀ちゃんが現れた。
「こんばんは!マンハッタン・カフェですけど!差入れに来ました!」
「あれ、誰?可愛いくない?」「高堀くんの妹?」「ざわわ…ざわわ」
「ウチのバイトの子です!」「へえ、そうなんだ〜」「ざわわ…ざわわ」
全員の視線が飛んで火に入る亜紀ちゃんに注がれた。
「ねえ、いくつ?」「彼氏は?」「スキな食べ物は?」「欲しいものある?」
(欲しいもの聞いてどうする気?)
お腹をすかしたワニの群れに放り込まれた生肉のような亜紀ちゃんは
スニーカーを脱いで和室に上がり、私の横まで来てテーブルの上にポットを置いた。
(そこに置いてくだけでいいのに!無防備だな)
「ママさんが、これみんなで飲んでくださいって!」
「あ、そうなんだ…、だそうです、好かったら飲んでくださ〜い!」
私は、最悪の事態を想定して身構えながらコーヒーを勧めた。
部長が、代表して「ありがとうございます」と大声で言った途端
「あざっす!」と歓声があがり、囲まれるような状態になった。
亜紀ちゃんは、歓声のあまりの音量とみんなの動きだしに圧倒されたのか
その瞬間、自分がかなり危険な場所にいることに気付いたのか
「ポット、持って来てくださいね」とだけ小声で私に言い残して
満員電車から飛び出すようにして、うつむきながら電光石火の如く帰って行った。
「帰っちゃうの?」「まだいいじゃん!」「欲しいものが決まったら言ってね〜!」
本人にはたぶん届かない立石さんの投げ掛けに、一同は大爆笑。
(欲しいもの買い与え戦法で、いつも口説くのだろうか…おそるべし!)
亜紀ちゃんの話しがひと段落して、私が紙コップを並べ始めたところで、立石さんが騒ぎ出した。
「あれ?誰だよ!俺のレバー食べたの!誰だよ!?加瀬やんだろ!あう?」
「うぐええ???なんで俺なんすか!」
「さっき、1本食ってたろ!あれレバーだったんじゃねえ?」
「レバーじゃないっすよ!砂肝っすよ!」
「砂肝食ったの?レバーと砂肝が食べたくて買ってきたのに!」
「じゃあ、最初に食べればヨカッタでしょうが!」
「最初は、とりあえずビールとねぎ間!次に焼酎とレバー、2杯目が砂肝!そう決まってるの!うぐぁ!」
(欲しいものを買い与える前に、焼き鳥を多めに買えばいいのに…)
「焼き鳥の話しはいいから、少し真面目に考えてくれないかな?」
部長の注意は何度目だろうか、直後はそれなりに話し合いに戻るがすぐに横道に逸れて
決めなければいけないことが山積しているのに、焼酎とつまみだけが片付いていった。
(“居酒屋青年部・脱線横丁”とでも言いましょうか…)
「呑みながら話すってのが、違うんだな〜」
部長は反省ともいえるような、迷いともいえるような言葉をぼそっとつぶやいた。
(#impulse_jpでつぶやいてほしいところ)
「そういえば、事務局の吉見さんは?」
山本さんの質問に部長が答える前に大淵さんが
「そういえば、そうだ!なんでいないの?」
立て続けの質問に責め立てられそうな気配を感じてか、部長はやや他人事のように
「事務局は新しいことに後ろ向きで今まで通りでいくつもりだから…」
「えっ?そうなの?」「じゃあ、段取りとか予算とかは?」「ざわわ…ざわわ」
部長はいよいよ他人事ではなく、覚悟した言い方で
「俺たちで、全部やるしか無いんです!」
中腰になった部長に、みんなは少し見上げた視線のまま
「そうなんだ…」「へえ〜」「ざわわ…ざわわ」
「あれ?お湯出ねえな?……ああ、このボタン押してからか〜ポチっ!」
まだまだ他人事のような反応と「それで成立するの?」という空気。
飲み食いの音と「ざわわ・ざわわ」した会話がおさまり、焼酎にお湯を注ぐポットの給湯音だけが聞こえた。
「この企画(ゆかた美人コンテスト)は、前から俺がやりたい企画で…」
部長は咳払いをして弾みをつけて続けた。
「親会の理事会で〜
今まで同様のお祭りで今まで同様やりましょう、みたいな空気がなんか違うような気がしてさ〜
年々盛り下がってる感じあるじゃん!人出も内容も…このままじゃ、なんかさ〜
で、青年部で盛り上げますから予算をみてください!って言っちゃったんだよね〜
明後日の金曜日が実行委員会なんだけど、そこできっちりプレゼンするからって!」
「明後日?」「明後日って?」「ざわわ…ざわわ」
みんなが一斉に「明後日は無理だろう」という反応。
私も初めて聞いた話で、「正直、厳しい!」がその時の実感。
言葉を選んでいるようなみんなに代わって、山本さんが質問をした。
「やることは決定なんすかっ?」
「決定?…いや、決定させるつもりだけど…、企画書と決算書とプレゼンしだいかな…」
「企画書と決算書はどうやって?」「プレゼンは誰が?」「ざわわ…ざわわ」
「いや…、それは…」
部長が困っているのを見て、加瀬がフォローのつもりで言った。
「そんなのイベント会社に頼んだほうがいいよ〜」
大淵さんもその流れに乗った。
「そうだよ、もう時間が無いし、聞いてみるだけ聞いてみれば」
「それじゃあ、予算がかかるんじゃない?」
「じゃあ、今年無理にやらなくても、来年て手もありますけど!」
「うまくいかなかったら、その時の責任は?」「ざわわ…ざわわ」
自分たちの力でなんとかやる、というところから放れた意見のまま
夜の9時を報せる役場の鐘がなり、歯切れ悪く流れ解散となった。
結局、行きつけのスナックに行く立石さんに数人がついていき、三々五々いなくなり和室には部長と私だけが残った。
ぎこちない空気のまま、私は、何から準備したらいいのか、どうしてこうなったのか、を考えていた。
前回の会議で、「絶対にやる!」という前向きな姿勢で話しは進んだものの、よく考えれば、イメージだけの話。
思えば、「何をどうするのか、誰が何をするのか」具体的なことなんて何も無かったかも。
「部長がどうにかするんだろう」というムードと、上手くいかない時に起こりやすい団体行動の空回り
集まりさえすれば何とかなるだろう、という部長の甘過ぎる目論見は儚くも消え
何から手を付けていいのかさえわからないまま、呑むのがスキで集まっていたような苦い結果だけが残った。
先に立ち上がった部長は和室の入口に座り込み、カカトに人差し指を入れてキツめの靴を履きながら
振り返らずに重たい口を開いた。
「高堀君、もう、今日は帰ろうよ!」
「…そうですね!」
つま先で廊下をトントーンと蹴って靴を履き終えた部長はキビスをかえして、立ち上がろうとしている私に
「企画書とかってさ…」
やっぱり、このまま帰れない思いがあったに違いない。
「…私が書きますよ、自分なりにつくっちゃっても好ければ…」
私は、重たい空気がイヤだったので努めてあっさり答えた。
「ホント?お願いできるかな?そういうのやったこと無いし!」
「すいません、最初から俺が段取ってもよかったんですけど、シャシャリ出るのもどうかと思って…」
「そう言ってもらえると嬉しいよ!…予算書の方は?」
「ああ…、企画書をつくるのは仕事みたいなもんだったんですけど、お金に関する方は…」
「じゃあ、そっちは事務局に聞いて自分でやってみるわ!」
「そうしてください、でもどんな物にお金がかかるか考えてみます」
「あと、何が必要かな?」
「ちょっと、整理してみます!」
「じゃあ、今日のところは帰ろうか?」
「はい」
2人で階段をゆっくり下りながら
「あ、やっぱり、もうちょっと話しできますか?」
私は、確認しておきたいことを思い出して部長を誘ってみた。
「いいけど、どこ行こうか?」
「うち(マンハッタン)でよければ…」
「そうだね、旨いコーヒーでも飲みながら!」
「あ!ポット忘れた!」
「ああ、思い出してよかったね!」
誰も歩いていない商店街を横切り、バイパスの交差点に差し掛かる頃
マンハッタン・カフェ(家)のオレンジ系のカウンター照明が見えた。
夕方クローズが普通なので「あれっ」と思ったが、中に入るとカウンターの席で父は読書を
カウンターの中では母が石に筆を向けて猫を描いていた。
「ただいまっ!こんな時間までどうしたの?」
「…おか〜…え…り〜」
父は読書をしたまま、母は石を見つめたまま、2人ともこちらを見ずにふわっとした返事をした。
「だから、どうしたの?」
「ああ、描き始まったらノっちゃってさ!」「新刊がさっ!」
同時に2人が答えて聞き取り辛かったが、意味として聞き取れた。
「…なんでもいいけど、もう9時過ぎだよ!」
筆を持つと、母は集中力がそこ一点に向けられる傾向がある。
新刊が届くと、父はすぐに読んでおきたくなる性分である。
たぶん、会話もせずにずっとここでお互いに自由な時間を過ごしていたのだろう。
(バランスがとれているといえばとれているような…)
「あらら、もうそんな時間なの〜?」「そんな時間か〜」
時計が掛けてある方を見た流れで、初めて部長が一緒なのに気が付いたようで
「あれ、いらっしゃい!」「ああ、こんばんは!」
「差入れのコーヒー、ありがとうございました!」部長が丁寧な挨拶。
「いえいえ、とんでもないです〜」母が丁寧には丁寧な返し。
「亜紀ちゃん、何か言ってた?」
少し心配で聞いてみると、嬉しそうに顔を歪めながら
「よくもまあ、あんな生ゴミ臭の中にいられるなあって!」
(生ゴミ臭か〜、的を射ている…)
結局、コーヒーを煎れると母は続きの作業に入り、父は簡単な会話をしただけで黙々と読書を続けていた。
丁度いいので父と母を気にせず2人でカウンターに座り、コピー機から引き抜いたA4用紙をメモ帳代わりに話しを始めた。
「あの〜、確認しておきたいことなんですけど」
「うんうん、なになに?」
「まず、なぜこの企画をやりたいんですか?」
「なぜ?ううん…盛り上がるかな〜と思って…かな〜」
「じゃあ、盛り上がればどんな企画でもいいんですか?」
「ううん、…それは、…俺たちやる側も楽しめた方がいいかな〜と思って!」
「…じゃあ、青年部も楽しめて、見てる人も楽しめればいいんですよね!」
「ううん、…そういうことになるね!」
「盛り上がるっていうのは、お客さんがある程度集まればいいわけですよね!」
「ううん、…そうだね!」
「じゃあ、僕らが楽しめて〜集まったお客さんが楽しめて〜」
「…ああ、そうね!そうね!」
「最終的には、話題になるとか継続的なことになればいいわけでしょうね!」
「…ああ、そうね!そうね!」
「じゃあ、みんなの意識を少し変える必要があるでしょうね!」
「意識?…例えば?」
「例えば、みんなでやるんだよってことだったり…、個人個人の責任というか…」
「…ああ、そうね!そうね!」
「なので、リーダーとして、そのビジョンみたいなものと計画的なものを、みんなの前で話しましょうよ!」
「…ああ、なんか難しそうだな〜」
「そんなにかっこいいことじゃなくていいと思うんですけど、みんなでやろうよ!みたいな感じで…」
「…ああ…」
「たぶん、仲間という感覚はしっかりあると思うんですけど、それはそれとして…
チームという意識が強くならないといけないと、思いますから!」
「…ああ…、チームね〜」
「何かを始めるというかつくる時には、そういう意識がないと…、まずはリーダーが大まかにでも仕切らないと!」
「…ああ…難しいな〜」
「目的と役割がはっきり見えてないと、なかなか動けないと言うか動かないと言うか」
「…ああ…」
(思えば、ずいぶん偉そうなことを先輩に言っていたような…)
「ずいぶんマジメな話しをしているね!」
いつから聞いていたのか父が口を挟んできた。
「いやあ…」
部長が恥ずかしそうに言うので
「親父はいいから本読んでて!っつうか、2人とも二階に行っててくれる!」
「はいはい、お風呂入れときますね〜!」
母はいそいそと奥に入って行ったが、父は何かを言いたいらしい。
「一言だけいいかな、小宮山さん!」
「はい!」
やめさせようかと思ったが、少し様子をみるつもりで…。
「リーダーなんてもんは、そんなに難しく考えなくていいんだよ!」
「はい…」
「ヘラヘラしててもいいし、大したこと言えなくてもいい!
そりゃあ、自分でできるのが一番いいけど、パンクしたら意味が無いから
自分の不得意なところを代わりにできる人と、それぞれの専門に長けてる人を見つければいい!
全体が機能するように見まわれるような、そこにいるだけでみんなが安心する存在になればいい!
そんな風に考えればいいんだと思うよ!」
(一言だけって言ったのに…)
尤もなことを聞かされてどうしていいかわからず、部長が軽く相槌をいれた。
「なんか聞いてるうちに、少し楽になったような気がします…」
「そりゃ好かった!…ただっ!」
父はここからが重要なんだ、という気合いの入り方。
「ただ、大真面目でなきゃダメ!何に対しても、誰に対しても!とにかく真面目に相対すのが絶対条件!」
「…はい!」
「まっ、ガンバってね!」
「はい、ありがとうございました!」
なかなかいいこと言うじゃん、と思いながら父が奥に入って行くのをうっかり見送ってしまった。
「高堀くん、なんかさ〜、自信失いかけてたけど、やれそうな気がしてきたよ!」
「そっすか〜」
(単純て素敵なことだな…いやいや、やれると思うことが重要!)
真面目なことを言う父を見て、どうにも気恥ずかしくてたまらなかったことを覚えている。
だからかもしれない、少し茶化すようなことを私は言った。
「抽象的な話しもいいんですけど、時間も無いので具体的な話しをしませんか!?」
「ああ、そうね!」
「抽象的なことを言うのは案外簡単ですから!」
「冷めてるね〜」
「今までに読んだ何かの本に書いてあったんじゃないですかね、あんなようなことが…」
「ああ…」
「本に書いてあるように、事は上手くいきませんけどね〜」
「そんな風に言わなくても…」
(たぶん、そんな冷たい言い方をしたような…)(今、考えれば反省)
「じゃあ、部長も読んでみますか?組織論とか帝王学とか、その手の本!」
「うん、取り揃えといて!」
「そっすか!毎度、ありがとうございます!」
(あれ?商売ができました?)
その時、駐車場で賑やかな暴走族的な爆音が聞こえた。明らかにパパサンとミニクーパーのマフラー音。
(なんだろう、今頃?)
「カランコロンカラン」鈴の音が鳴り止む前に小室さんがゴリゴリした言い方で
「なんで今頃、電気点いてんの?」
(なかなかゆっくり話しをさせてくれないもんだ、この店は…)
すぐ後ろからママレモンがついて来て
「何かあったの、何か?ねえ?ねえ?ねえ?」
(近所にひとりはいる、首ツッコミおばはんかっ!)
たまたま通りかかって、電気が点いているのを見て寄ってくれたらしい2人。
「何も無いよ!…あれ?ママレモン、お店はどうしたの?」
「今日は定休日なんですけど、何か!」
「へえ、定休日なんてあるんだ?」
「あるわよボケ!あたしにゃ、産休もあるし、育児休暇もあるのよ!」
「…そすかっ、お休みが自由に取れるんですね〜」
「そうよ!なんか文句ある?」
「じゃあまずは、1年ぐらいお休みして、自分を見つめ直すインド旅行にでもお出かけになった方が宜しいのでは…」
「にゃああ!(怒)」
どうでもいいやり取りが続き、結局4人でカウンターに座り、うるさい声を聞きつけた母がコーヒーの淹れなおし。
「結局、入隊したんだな、お主!」
(入部ですけど…)
「それで、早速、問題勃発か?」
「そんなんじゃないけど…」
嬉しそうな顔で小室さんは聞き込み調査でもしているつもり。
「いいから話してみろよ、小宮山!」
「そんなんじゃないですって!
「じゃあ、上手くいってんのかよ、水着美人コンテスト!」
(ゆかた、ですけど!…面倒臭いからツッこまないけど…)
「それが…なかなか進まないので、いま話してまして…」
「ほ〜ら、なっ!!!じゃあ、いいから話してみろよ!いま、どういう状況だよ?」
内容を把握するのに時間がかかる小室さんと、余計なことをイチイチ言うママレモン
行ったり来たりしながらなんとか説明して、一通り説明が終った時に小室さんが言った言葉が
「分かった!…そりゃあ、簡単なことだな!」
(これ、たぶん、飲み込めてない人のイイグサ!)
イチイチ遠回りをさせたあげく、ママレモンが言った相槌が
「簡単なの?聞きたい!聞きたい!」
(これ、たぶん、ややこしくする人の相槌!)
勿体ぶって間を取って、小室さんは両手を広げてジェスチャーたっぷりで語り始めた。
「要するに、みんなにズバっと言って、ババっとまとめて、ギュギュっとなって、ドッドーンとして
バンバンバーンとやっちゃえ!」
「……」
「わかるだろ!」
ママレモンさえもポカーン。
「……」
(この世の中に、理屈や論理は必要ないんだなあ、案外…)(汗)
でも、その「ニュアンス勝負」が逆に伝わる人には伝わることもあるような気がして
小室さんて、もしかしたら深イ〜スゴイ人なのかもしれないと思った。
(深読みし過ぎているような気もするけど…)
「いいか!とにかく、バンバンバーンとやっちゃえ!」
部長の背中を小室さんが力強く叩いた。
部長は大きくうなずいて、すぐに氷の溶けたグラスの水を飲み干しながら
「ババーンとやっちゃおうぜ!」という顔でこちらを見た。
「ズバっ、ババっ、ギュギュ、ドッドーン、バンバンバーン!」
たぶん、和訳(通訳?)すると
「目標と計画に向けて、みんなを信じて、とにかく真摯に、とにかく突き進め!」
言葉の意味を噛みしめながら、私は、冷めたコーヒーを少しだけ飲んで、「そっすね!」という顔で返した。
母の造った新入りの石猫が仲間の輪に入り、こちらを向いて笑っているように見えた。
仲間が増えることはいいことだな、と思った。
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全青連メールマガジン2011.1月号
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