農民は連帯感に生きる。 商人は孤独を生甲斐にしなければならぬ。 総ては競争者である。
農民は安定を求める。 商人は不安定こそ利潤の源泉として喜ばねばならぬ。
農民は安全を欲する。 商人は冒険を望まねばならぬ。 絶えず危険な世界を求め、 そこに飛びこまぬ商人は利子生活者であり隠居であるにすぎぬ。
農民は土着を喜ぶ。 大地に根を深くおろそうとする。 商人はどこからでも養分を吸い上げられる浮草でなければならぬ。 その故郷は住むところすべてである。 自分の基所はこの全世界である。 先祖伝来の土地などという商人は一刻も早くそろばんを捨て、 くわを取るべきである。
石橋をたたいて歩いてはならぬ。 人の作った道を用心して通るのは女子子供と老人の仕事である。 我が歩むところそのものが道である。 他人の道は、自分の道でないということが商人の道である。
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