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人見知りする、恥ずかしがりや、内弁慶、おっとり…とおよそケンカと縁のないように見える娘も、五歳くらいになると保育園のお友達とケンカをするようになった。それも、泣かされてくるほうが多い。 一番の仲良しのハルちゃんは、三人きょうだいの長女でしっかりものの仕切りやタイプ。我が子とは正反対だ。ところが、いつものように迎えに行くと、二人とも大声で泣いている。先生によると、他愛もないことでケンカし、「ナミちゃんは謝ったんだけど、ハルちゃんは自分は悪くないって謝らなくて…」と困り顔。しばらく仲直りするまで付き合っていたのだが、ハルちゃんは「ナミちゃんなんか大嫌い!!」と大泣き。それでますますわが子も泣く、と永遠に続き、先生もホトホト困り果てている。それでなくてもこっちは仕事で疲れていてこれから夕食の支度というわけで、まあ明日仲直りしようとしびれをきらしてつれて帰った。
こんなとき、親は「ケンカ両成敗」と冷静になれればいいのだが、内心『ハルちゃんってひどくない? ナミは謝ったっていうのに…ハルちゃんの親も親だよ!! そういえば普段からあのお母さんあんまり愛想がないし…』などと意地悪くも思ってしまう。さらに、子どものいる友人が「子ども同士が仲良くても、その親同士、気が合うってわけじゃないから難しいよねー」と言っていたことなどを思い出し、ため息混じり、すっかり憂鬱になってしまった。 子どものほうは、「ナミがごめんねしたのに、ハルちゃんは言ってくれない」などとメソメソしていて、『そんなら、もうハルちゃんと遊ぶな!』と言いたいのをグッとこらえて、「仲直りするまでほかの子と遊んだら?」などと取り成すのであった。娘は「ハルちゃんがいい…」と泣いている。『ったく、こんな仕打ちをされながらまだ遊びたいなんて、おかしいよっ!』と言いたいのをまたまたグッとこらえて、「じゃあ、明日仲直りすればいいんじゃない?」と再び取り成す。もー疲れるぅ。
翌朝、重い気持ちで保育園に向かうと、ハルちゃんたちとバッタリ会った。「あっ、ナミちゃーん!!」とハルちゃんが駆け寄ってくる。ナミも「ハルちゃん!!」と駆け寄り、「いっしょに行こう」と手をつないで保育園の門をくぐってしまった。あっけにとられていると、ハルちゃんのお母さんが、「昨日はすみませんでした。ハルがナミちゃんに謝りきれなかったみたいで…」と言いに来た。「いいえ、こちらこそ。もう大丈夫みたいだし…」「子どもってすぐ仲直りしちゃうんですね」と、お互い苦笑い。胸のつかえがおりた。そして、よく理由もわからないのにハルちゃんやお母さんを悪く思ったことが恥ずかしくなった。 そう、結局この日は何事もなかったように、「仲良くしてましたよ、お昼寝のときもお隣してました」と先生が言うように、子どもって、にわとり? ハムスター?(←すぐに忘れる動物たち)って感じなのである。
このところ、テレビで、子どもがいじめられていると「勘違い」して、その子の家に火をつけたり、迷惑メールを送ったりする親のことがニュースになっている。そんなバカな親いるのかよ!!と他人事のように思う反面、へんに逆恨みしてしまう危険は誰にでもあるものかもしれないと、ハッとした。たしかに親の目から見て、「なんで、あんな性格悪そうな子と仲がいいんだろう」と思うこと正直ある。が、それは子どもの問題。きっと子ども同士、気に入るなにかがあるはずだ。こちらは問題がおきたときに手を差し伸べてやるしかない。
はあ、親業も大変だあ。子どもが成長するように、親も親として成長していくものなんだと身にしみる「発達途上」の母であった。(つづく) |
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