有馬温泉に行った。近くにお世話になった方がおられ、お招きがあったので出かけその足で、だ。 出かけてみて有馬温泉は日本三古泉・名泉のひとつで古代から人気のある温泉だとわかった。 有馬温泉の他二つは紀州の白浜温泉と愛媛の道後温泉だとのこと。
いい泉質だった。源泉は多数あり、そのうち、金の湯、銀の湯を知った。 金の湯は元々は透明の湯だが、空気にふれると褐色になり、これぞ温泉、という感じの塩分と鉄分が大変多い湯。 銀の湯は透明で炭酸水の湯。
有馬温泉は兵庫県神戸市にあるが、位置的には中国地方の玄関口。 旅人は中国地方での行程の疲れを癒すのに格好のロケーションだ。
太閤秀吉が中国制圧の時に有馬温泉を知り、河川工事をして源泉を保護整備し、すっかりその魅力にとりこになって妻であるねねを呼んで楽しんだということは何かの本で読んだ。
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有馬温泉町は坂の多い町というか、六甲山の斜面にできた町だ。 浴衣がけで下駄の音をさせながら温泉町を散策するにはこの坂がちょっとシンドイ。 現在32軒のホテルや旅館があり、大阪や神戸から電車やバス、もちろん車でも気軽に出かけられるように整っている。
温泉は健康志向と共にブームになり、各地にあるけれど、この有馬温泉は古代に発見され、有名人が数多く訪ねていた。 日本書記には631年に舒明・孝徳天皇が湯治され、生まれた皇子は有馬皇子(ありまのみこ)と名付けられたとある。 この皇子は悲劇の皇子で謀反の疑い(か本当か、不明)で若くして処刑される。 奈良時代になると東大寺建立に力をそそいだ僧の行基が有馬温泉の基礎を築いたことも知った。
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近代では福沢諭吉も竹久夢二もモナコの王妃も訪れたとか〜。
この温泉町のお土産ものというと炭酸せんべいと有馬籠と筆。 炭酸せんべいって何かというとこの地で湧く水が炭酸を含んでいてこの水を使ってつくるせんべい。 神戸の町でよくみかけるゴーフルというお菓子のクリームをはさんでいるパリパリしたものと似ていると言えば想像のつく方も多いでしょう。
今はどこの温泉地にいっても似たようなお土産ものが多い中でこのせんべいは独特の風味があった。
そして忘れてはならないのが有馬籠。
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乗り物の籠ではなく、花をいれる籠。 もう少しいうと茶花の花活け。床の間に季節の花を投げ入れている籠といえばわかるかもしれない。 秀吉の妻ねねが有馬温泉を訪れたときにプレゼントされたらしい。 彼女がこの籠を大事にしたのは言うまでもない。 旦那様を忘れてもハンドバッグは忘れないという女の性はこの辺から生まれたのか、なあんて想像する。 なぜなら秀吉亡きあとねね(この時は北の政所)は実家浅野家と共に徳川家に味方し、江戸政権成立の重要なキーマン、いいえキーウーマンになってしまうのだから。
丁寧に編みあげられた有馬籠は千利休の知るところともなり、茶道で使う茶花の花入れとして珍重されるようにもなる。 有馬で秀吉は茶会も開いた記録もある。
高品質の品物は有名女優や政治家夫人に献上されるとブランド化できることを16、7世紀には実証したみたいだ。 等々、私の妄想は温泉に入ると、次々に膨らむ。 |
F首相も東京でストレスに押しつぶされる前に有馬温泉に入りリフレッシュしたらよかったかもしれないのに。 いいえ、たとえ温泉に入ったとしてもアルキメデスのようなひらめきは出なかった・・・(‘;’)
お土産に買った有馬籠に花をいけ、一服お茶を点てましょうか。
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