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『黄色い涙』。 ちょっと期待が大きすぎたかな。いえ、嵐の問題ではなく。 最も影響を受けやすい時期に見たもんだから。NHK銀河テレビ小説。 犬童監督もそうらしい。いきさつを見ると、何を撮りたいか聞かれて、昔見た『黄色い涙』と監督が答えて、決定したとか。あれ?
でもって、脚本は市川森一に再度依頼。これも、ん?だ。市川さんは以前、何かで「フィルムがNHKの火事で焼けちゃった」とか話していたことがある。ちゃんとこの耳で聞いた。いくら再放送を依頼してもダメだったのはそのせいかと思っていたけど、先日アーカイブスに行って、残ってることを知った。視聴可能ドラマのリストにも載っている。
まあ、いろいろあったから。作品の質はもちろんだけど、いろんな意味を含めて「伝説の…」とか「幻の…」とかつくドラマだったし。勢い、思い入れも強くなる。
で、映画です。 いや、やっぱり問題は嵐なのかなあ。仲が良すぎるんだ。5人仲いいの知ってるから、それが違和感になる。その証拠に、一人ひとりの演技はそれなりなんだ。主役のニノはもちろんウマイし、秀逸は大野。役柄が素でいけるのか(画家志望、昔は下條アトムだった)、これは買いです。翔くんも賢くまとめている。だけだけど。ま、相葉と潤くんは問題外。
5人てことで、確かにうまく役柄は埋められた。それなりにキャラクター合ってるし。本当は4人だけど、松本潤たぶんドラマで忙しく、初作にないポストをうまく作れたし。けど、これは本来、あまりよく知らない人間たちが集まって、ひと夏の間、イライラしながら己の才能あるいは未来の有り無しを問い直しつつ、このときでしか創れない友情を育むっていう物語でしょう。目指すものは違っても、お互いにありがちな対抗心とかはメラメラもってるし、それを莫大にカバーするほどの思いやりも、お互いにもっている。
何を共感したかというと、それなんだよね。うっとうしいけど身を寄せ合わずにいられない。自分の奥の大嫌いな、切り捨てたい部分を、互いの内に探り当てながら、それがどうにも愛おしく、手放せない。でも、いずれ手放さなきゃならないことを知っている。青春との決別を、相手になすりつけたり、自分で覚悟を決めたり、右往左往しながら現実に向かっていく、そのプロセスが、この物語の核なんだと思う。だから、4人は愛し合っているけれど、どこかよそよそしくなくちゃいけない。互いの手の内を全部明かしたら負け、みたいな緊張感が、馴れ合いの中に醸成されなくちゃならない。
漫画家として志を貫いたのは村岡(原作の永島慎二さんその人)だけで、ニノはさすがに、その意味をよく理解していたと思う。ピンでの演技は大したものだ。だけど、4人集まると、けっきょく本当の馴れ合いになっちゃうんだよね。白々しいというか。最初から知り尽くした仲間同士じゃ、知り合っていく新味もないから、どこにも進めない。だから観るほうもしらけて最後まで行き着けずに消化不良。やっぱり嵐じゃ荷が重かった。あー残念。
こういう話には、役者本人の生き様も重要。森本レオもいろいろあったみたいだけど、彼以外にあり得なかったし、小説家志望役の岸部シローも、めちゃくちゃ軽薄な無頼なのに、ギリギリまで切れ味鋭くて。だから、青臭い詩もすんなり届く。翔くんも形だけはできてたんだけど。
思うに、犬童監督、途中で嫌になっちゃったんじゃないか。あ、オレ、間違えちゃったかも、って。そのくらい精彩を欠く。昭和39年のセットもそれなりによくできてたけど、一番カギになる季節描写も締まりがないし、食堂のトキちゃん(児島みゆき!)の描き方だってオザナリだし(香椎由宇ちゃんも上手)、一つ一つに思い入れが感じられない。ジャニーズ負けしたのかな。平等扱いに気をとられてどっちつかず。後悔ありありだな。どうしてくれる。それとも、この程度なのか?「眉山」も見る気ないけど。そして、市川さんはハナから嫌々。販促にも出ないし。
もうちょっと経過を知りたくなるな。初めに何ありきだったんだろう。持ちかけたのは誰か、ジャニーさんか?「犬童さんに、映画撮ってもらいましょう」で、「黄色い涙」か。少なくとも「黄色い涙を嵐で」じゃないだろう。予告編は「西遊記」がガチャガチャうるさかったし、なんだって?カンヌで「ギフト」?「ヒーロー」?「YOUたち、今年は映画よ」てか?あー、気持ち悪い。許せんな。
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